ヤクルトの田口麗斗、阪神の山本泰寛、日本ハムの宇佐見真吾、古川侑利……数年前まで巨人で期待された選手たちが今年、移籍先で活躍している。田口は中継ぎとして開幕から26試合連続無失点を記録し、ヤクルト首位独走の原動力となっている。山本は貴重なユーティリティープレーヤーとして内野の全ポジションで先発出場を果たし、チーム試合数の約3分の2にあたる77試合に出場。宇佐見は捕手としてチーム最多出場、古川は巨人在籍の昨年1試合の登板に終わったが、今年は中継ぎとして33試合マウンドに上がっている(記録は8月28日現在。以下同)。
「移籍先ではより多くのチャンスを与えられるだけでなく、巨人のプレッシャーからも解放されるため、開花や復活するケースが増えています。巨人時代、田口は2年連続2桁勝利を挙げ、中継ぎでも結果を残していた。山本も3年前は92試合に出場しています。宇佐見は2年目の2017年に高橋由伸監督に抜擢され、サヨナラホームランを打ったり、9回裏に同点アーチを放ったりしていました。古川は楽天時代、ローテーションに入ったこともあった。
いずれも潜在能力は高かったが、巨人では生かしきれなかった。貴重な左の中継ぎだった田口は別として、他の3人は巨人時代、一度失敗するとすぐに二軍に落とされてしまうような緊張感の中で、思うようなプレーができなかったのかもしれません」(プロ野球担当記者。以下同)
高橋由伸監督時代に打てるキャッチャーの可能性を感じさせた宇佐見は原辰徳監督3次政権の始まった2019年、シーズン途中の6月に日本ハムにトレードされた。この年、巨人はFAで西武から炭谷銀仁朗を獲得しており、宇佐見の出場機会はほとんどなかった。
古川は2019年のシーズン途中、楽天から巨人へ移籍してきた。7月24日のヤクルト戦で先発を任されるも、わずか1回でKOされて翌日に二軍落ち。2か月後に一軍登録されたが、リリーフで1勝するに留まった。翌年は6月に一軍昇格したが、初登板となった24日の広島戦でリリーフで2回1失点に終わると、翌日に二軍落ち。その後は10月に救援で4試合に投げたが、勝敗は付かなかった。2021年は1試合のみの登板でオフに解雇され、トライアウトで日本ハムの新庄剛志ビッグボスに拾われた格好だ。
山本は2019年、ソフトバンクとの日本シリーズ第2戦、4戦でエラーを犯し、4連敗の1つの原因となった。翌年、一度も一軍出場がないまま、オフに阪神へ金銭トレードされた。