「周りに迷惑をかけないため」「打っていない人が感染を拡大している」そう言われ続けていたが、接種後に感染する人が後を絶たず、ついに首相もそのひとりに。副反応に耐えながら、4回、5回と続ける意味はどれほどあるのか。
《私の感染について国民の皆さんからいただいたご指摘は、真摯に受け止めなければならない》
8月22日、岸田文雄首相は新型コロナに感染したことを発表し、こう語った。依然として第7波が猛威を振るい続けるいま、たとえ対策が万全であったとしても誰がどこで感染してもおかしくない。しかし多くの国民がクエスチョンマークを抱いたのは、そのタイミングだ。名古屋大学名誉教授の小島勢二さんが指摘する。
「岸田首相は『自分にも周りにも大事なこと』として8月12日に4回目のワクチンを接種しました。つまり、自分の感染を防ぎ、周囲にもうつさないようにすることが接種の目的でした。ところがわずか8日後に微熱や咳などの症状が出て、8月21日に陽性が確認された。接種直後の感染に、多くの国民は『ワクチンは効かないのか』と落胆したはずです」
接種後すぐに感染するケースが相次いでいる。7月下旬に4回目接種をしたタレントの萩本欽一(81才)は、8月11日に陽性が確認され、タレントの山田邦子(62才)もワクチンを打ったその日の夜に感染していたことが明らかになった。1年半にわたって推進されたワクチンだが、果たしてその意味はあったのか。
副反応かと思ったら感染だった
「正直に言って、ワクチンは感染予防には効果がないというのが現場の実感です」
都内の大学病院に勤務する産婦人科医がため息をつく。
「うちの病院の看護師はほとんどが4回目を打ち終わりましたが、その後に2〜3割が感染しました。“ワクチンを打ったからコロナにかからない”と考える医療スタッフはもうゼロに近いです」
都内の開業医も声を揃える。
「4回目接種をした患者のうち、半分近くが感染している状況です。なかには接種後の副反応がひどくて苦しんだのに、さらにコロナにかかって『ワクチンに何の意味があったんですか』と涙目で訴える人もいます」
ナビタスクリニック理事長で医師の久住英二さんは、ワクチンの感染予防効果は大幅に低下していると話す。
「当院でも、岸田首相のように4回目を受けた直後にかかる患者は少なくありません。ワクチンの副反応で体調を崩したと思って受診したら、実はコロナに感染していたということもある。接種後、抗体ができるまでの期間にかかったケースもありますが、ワクチンの有効性が大幅に低下していることは間違いありません」