ビジネス

島根・旧大社駅 「駅舎の重要文化財3兄弟」として取り組む保存・修理工事は何が違うか

旧大社駅。島根県出雲市(時事通信フォト)

旧大社駅。2013年撮影。島根県出雲市(時事通信フォト)

「3兄弟」と呼ばれる駅舎の重要文化財がある。東京駅、北九州市の門司港駅、出雲大社参詣の表玄関だった旧大社駅の3つだ。このうち、大社線の廃線にともなった1990年に廃止となったにも関わらず、駅舎が保存され国の重要文化財に指定された旧大社駅は、現在、大規模な保存・修理工事中だ。ライターの小川裕夫氏が、旧大社駅の保存・修理工事の難しさについてレポートする。

 * * *
 1958年、日本国有鉄道が文化的・歴史的に高い価値があると考えられる駅舎や車両といった鉄道関連の設備・施設などを鉄道記念物に指定する制度を創設した。同制度により、一号機関車・一号御料車・0哩標識などが鉄道記念物に指定された。同制度の創設当初は、鉄道記念物に関心を寄せるのは鉄道業界関係者や鉄道ファンと範囲は限定的だった。

 しかし、同制度によって、鉄道が文化的・歴史的な価値があるとの認識は広まった。現在、鉄道に関連する記念物を後世に残そう・伝えようとすることに同意する人は少なくない。

 新橋―横浜間の鉄道開業から150年の節目を迎えた2022年では、鉄道に関連する駅舎や車両も、世間一般からも文化的・歴史的な価値について評価されるようになっている。それらは重要文化財に指定され、博物館などで直に見ることができる車両などもある。直に見られる車両といっても、重要文化財なので厳重に管理されていることは言うまでもない。

 重要文化財とは、日本国内にある有形文化財のうち、文化庁が芸術的・学術的に高い価値があると判断したモノを指す。重要文化財に指定されると、文化財保護法の対象となる。そして、それらの保護・保存には公的に補助金が交付される。

 一方、駅舎は車両とは異なり博物館に収蔵できない。そうした事情もあって、補助金があっても維持や管理に困難が伴う。

 これまで重要文化財として指定された駅舎は、国内に3つある。赤レンガが美しく映える東京駅は2003年に重要文化財に指定された。赤レンガ駅舎は東京を代表する玄関でもあり、それだけに赤レンガ駅舎が重要文化財に指定されたことに異論を唱える人は少ないだろう。

 もうひとつ、福岡県北九州市に所在する門司港駅は、赤レンガ駅舎よりも早い1988年に重要文化財指定された。門司港一帯は明治・大正期に貿易港としてにぎわい、多くの商社が支社・出張所を構えた。優美な駅舎は、その栄華を現在に伝える。

 東京駅と門司港駅の2つは現役の駅舎として使用されているが、実はもうひとつ重要文化財に指定された駅舎がある。それが、島根県出雲市に所在する大社駅だ。大社駅は現役の駅舎として使用されていないため、正確には旧大社駅と呼ばれる。また、東京駅・門司港駅と旧大社駅は、重要文化財の駅舎3兄弟と称されることもある。

関連記事

トピックス

広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
《事故前にも奇行》広末涼子容疑者、同乗した“自称マネージャー”が運転しなかった謎…奈良からおよそ約450キロの道のり「撮影の帰り道だった可能性」
NEWSポストセブン
長浜簡易裁判所。書記官はなぜ遺体を遺棄したのか
【冷凍女性死体遺棄】「怖い雰囲気で近寄りがたくて…」容疑者3人の“薄気味悪い共通点”と“生活感が残った民家”「奥さんはずっと見ていない気がする」【滋賀・大津市】
NEWSポストセブン
坂本勇人(左)を阿部慎之助監督は今後どう起用していくのか
《年俸5億円の代打要員・守備固めはいらない…》巨人・坂本勇人「不調の原因」はどこにあるのか 阿部監督に迫られる「坂本を使わない」の決断
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者(44)が現行犯逮捕された
「『キャー!!』って尋常じゃない声が断続的に続いて…」事故直前、サービスエリアに響いた謎の奇声 “不思議な行動”が次々と発覚、薬物検査も実施へ 【広末涼子逮捕】
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
再再婚が噂される鳥羽氏(右)
《芸能活動自粛の広末涼子》鳥羽周作シェフが水面下で進めていた「新たな生活」 1月に運営会社の代表取締役に復帰も…事故に無言つらぬく現在
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン