全国的な行動制限のない夏休みは、実に2年ぶり。旅行や帰省でついおいしいものを食べすぎて、いつの間にか3kgも体重が増えていた……という人は少なくない。だが、ボディーワーカーで『ダイエットは運動1割、食事9割』などの著者・森拓郎さんは、急に体重が増える原因は脂肪ではなく、水分と便であることが多いと話す。
「食べすぎたときに体重が数日で1〜3kgほど増えるのは、誰にでもよくあること。多くは食べた糖質が水分と結合して体の中にたまっているだけで、通常、数日で体外に排出されて、体重は戻ります。ところが、それが1〜2週間以上戻らなければ危険信号。体の代謝が落ちていて、脂肪を蓄積しやすい状態にあるといえます」(森さん)
急に体重が増えるのは、たんなる水太りというわけだ。だが、冷たいものを摂る機会が多い夏は、1年でもっとも水太りしやすい時期でもある。例えば、冷たい飲み物を飲んで、エアコンでキンキンに冷やされた部屋で長時間過ごしていると、体が冷えて血流が悪くなる。これが、水太りの大きな原因の1つだと、目黒西口クリニック院長の南雲久美子さんは言う。
「体が冷えると水分の代謝が悪くなるだけでなく、血行も悪くなります。すると、手足などの末端まで充分に血液と栄養が運ばれなくなり、筋肉の動きが悪くなる。水分と血液は筋肉が動いてポンプのような働きをすることで循環が促されるため、冷えによって水分代謝が悪くなり、さらに体が冷え……という、悪循環に陥ります」
ふくらはぎやすねを指で押したときに戻りが悪い人は、水分代謝が悪くなり、むくんでいる証拠。この状態を、東洋医学では「水毒」という。国際中医薬膳管理師で管理栄養士の植木もも子さんが解説する。
「水毒の人がむくんでいるのは、脚だけではありません。多くの場合、体にたまった水分で舌がむくんで膨張して歯に押しつけられ、舌のまわりにギザギザと歯形がついています。また、舌の表面に白い苔がついていることもあります」
水毒の状態になると、主に手足や舌のむくみがわかりやすく表れる。だが、放っておくと、さまざまな不調につながる。
「むくみを解消せずにいると、手足以外にも、さまざまな部分で余分な水分が滞ります。頭部で起こるとめまいや耳鳴り、頭痛が出るほか、関節がむくむと痛みが出ます」(南雲さん)
東洋医学では、冷たいものの摂りすぎは「脾(主に胃腸のこと)」を悪くすると考えられている。つまり、水毒は内臓機能の低下も招くのだ。例えば、生ビールはジョッキ1杯で内臓温度を4℃も下げるといわれている。すると当然、胃腸の血行が悪くなり、機能が低下する。