本塁打の「日本記録更新」にも期待が集まる(時事通信フォト)
史上最年少の「三冠王」に邁進するヤクルト・村上宗隆(22)。本塁打、打点の二冠はほぼ手中に収めており、あとは首位打者の座を守り切れるかだが、加えて高まるのが本塁打数の「日本記録更新」への期待だ。
これまで1シーズンに50本以上打った選手は9人で、最多記録は2013年のバレンティン(ヤクルト)の60本。それ以前の記録は、1964年に55本を打った王貞治(巨人)まで遡る。残り約20試合だが、あるスポーツライターは「ここからが大変だ」と語る。
「バレンティンが60本を打つまでは王さんの55本が“聖域”でした。最初に挑戦したのが1985年のバース(阪神)で、残り2試合で54本だったが、相手が巨人で9打席6四球。その後、ローズ(近鉄)やカブレラ(西武)が55本に並んだが、“更新だけはさせまい”とする流れに勝てなかった」
時は流れ、令和初の挑戦者となる村上への対応はどうなるか。かつてヤクルトで4番を務めた広澤克実氏が言う。
「バースやローズが王さんの記録を抜けなかった時代とは違う。村上はストライクゾーンでの勝負こそ避けられているが、露骨さは少ない。今の選手は王さんの現役時代を知らないし、記録は壁にはならない。村上との勝負を楽しんでいる節もある。ボール球でも勝負してもらえれば、55本には届くでしょう。ただ60本はまだ遠く、相手が『勝負してもいい』状況をどれぐらい作れるかです」
バースが55本に挑戦したシーズンを戦った経験がある元広島カープの達川光男氏が言う。
「勝負さえしてくれれば、60本でも打つと思いますよ。ヤクルトが早く優勝すればチャンスは増えるだろうが、今年はCS入りが懸かった3位争いが熾烈だからね。3位までの順位が早く確定すれば、数字は伸びる。
1985年のバース? よく王さんの記録を塗り替えさせるなという空気があったと言われているが、カープはまったくなかったね。王さんが監督だった巨人はそうだったかもしれないが、うちはあくまで試合の流れの中で勝負するかを判断した。今年の村上も試合展開次第だと思うよ」
令和の怪物打者は偉大な先人を超えられるか。
※週刊ポスト2022年9月16・23日号