8月に再入閣した西村康稔・経産相だが、官僚によるトリセツ(取扱説明書)が早速作られていた。
週刊ポストが入手した〈西村経産大臣出張時の注意点【取扱注意】〉と題した文書では〈お土産購入ロジ〉の項目に〈大臣は、お土産の購入量が非常に多いため、荷物持ち人員が必要。秘書官一人では持ちきれないため、東京駅の大臣車積み込みまで対応〉〈会計は1人ではなく、複数人で対応できる体制が必要。(大臣はご自身で支払おうとするが、会計には時間がかかるため、事務方が瞬時に支払い(立替)にいくことが必要。)〉。さらに〈大臣は、夕食を購入するために駅構内を散策。弁当購入部隊とサラダ購入部隊の二手に分かれて対応〉ときめ細かすぎるサポートが記してある。
西村氏といえば政界きっての「贈り物マニア」として知られ、政治活動費の2割近くを「土産代」で計上、なかでも毎年「100万円玉ねぎ」を政治資金で購入していることを週刊ポスト(2022年7月8・15日号)が報じた。経産大臣の公務を支える官僚にも、お土産購入が“重要課題”になったということか。
元文部官僚で京都芸術大学客員教授の寺脇研氏が語る。
「政治主導になり、大臣に仕える官僚はその政治家の流儀に合わせて対応しなければならなくなった。大臣のご機嫌を損ねると立場も危うくなるから、何でも忖度しなければならない。そういう時に役人はこのようなマニュアルを作ります」
寺脇氏は〈お土産購入ロジ〉については「やりすぎです」と呆れる。
「大臣が自分の秘書に買い物を頼むことはありますが、個人的なお土産を購入するのに官僚を使うのは公私混同でしょう。今の役所はブラック労働だといわれているのに、不必要な労働を官僚に強いている。西村氏は元通産官僚だから、大臣がこのような振る舞いをすると役人が困るということはよくわかっているはず。大変なことがわかっているのにやらせているのは横暴だと思います」
文書について西村康稔事務所はこう回答した。
〈ご質問の文書は、出張を経験した福島復興推進グループの担当者が、大臣の福島出張後に、今後の出張の準備や当日対応の参考となるよう、あくまで執務参考用の内部文章(ママ)として自発的に作成し他部局に共有したものと報告を受けております。政治活動は法令に従い適正に行なっています。政治資金についても適正に報告しているところです〉