西武・森友哉、楽天・浅村栄斗の動向が注目される今オフのFA市場。最上位ランクの1人として動向が注目されるのが阪神・西勇輝だ。スポーツ紙記者は、西についてこう評する。
「向上心が旺盛にあって研究熱心ですね。現状に満足せず、常に上を見ている。投球だけでなく、牽制やフィールディングなど総合力が高く若手は見習うべき点が多い。責任感が強く後輩に苦言を呈したこともありますが、チームの輪を乱すタイプではない。毎年故障なく先発ローテーションに入ってきっちり投げますし、首脳陣にとってありがたい存在です。FA権は2回目の取得ですが、32歳とまだまだ衰えは見られない。権利を行使すれば、複数球団が獲得に興味を示すでしょう」
西の大きな強みは安定感だろう。2014年の12勝が自身最多で「絶対的エース」というわけではないが、オリックス在籍時の2011年から先発ローテーションに定着し、2ケタ勝利を7度マーク。2018年オフに阪神にFA移籍後も、先発の柱として稼働している。今季も9勝8敗でリーグ2位の防御率2.09(9月4日終了時点)。8月19日の巨人戦で3安打完封勝利を飾るなど、青柳晃洋と共に投手陣を牽引している。
西が2018年オフにFA権を行使した際はオリックスが宣言残留を認めたほか、阪神、DeNA、ソフトバンクが獲得に名乗りを挙げた。パ・リーグの編成担当は当時をこう振り返る。
「条件面ではソフトバンクが他球団を圧倒していたが、西は『環境を変えたくなかった』と、同じ関西の阪神への移籍を決断した。その裏で巨人も獲得レースに参戦するのではないかという情報が流れていたこともある。当時の鹿取義隆GMが西の実力を高く評価していましたしね。でも鹿取GMが2018年10月に退任し、原辰徳監督が就任すると、FA権を行使した丸佳浩、炭谷銀仁朗の獲得に動いた」
このいきさつを考えると、西が今オフにFA権を行使した場合に巨人が獲得に動くことは考えにくいが、スポーツ紙デスクは「4年前と状況が大きく変わっている」と指摘する。
「下位に低迷する巨人の補強ポイントは先発陣です。長年エースを務めていた菅野智之に衰えが見られるようになり、メルセデス、シューメーカー、アンドリースも物足りない。山崎伊織、堀田賢慎と若手が頭角を現していますが、戸郷翔征以外に1年間通じて先発ローテーションで計算ができる投手がいないのが現状です。
もし実績のある西を獲得できれば、大きなプラスアルファになる。西は関西への愛着が強いですが、信頼を寄せていた矢野燿大監督が今季限りで退任することが去就に影響する可能性があります。菅野と自主トレを何度も行い、師匠と仰ぐほど尊敬の念を抱いています。巨人が獲得に乗り出せば気持ちが揺れてもおかしくない」