「死ぬまでやれるよう頑張ります」。7か月ぶりに復帰した高座で、目に涙を浮かべながらこう話したのは、落語家の六代目三遊亭円楽(72)だ。円楽は今年1月に脳梗塞で倒れ入院。8月11日に国立演芸場の8月中席に登場したものの、体調はまだ万全とはいえず、26日には肺炎を発症。現在は大事を取って入院中だという。
そんな円楽の悲願が落語界の大名跡である「三遊亭円生」を継ぐことだ。ベテラン演芸記者がこう話す。
「“昭和の名人”と言われた円生の名跡は、円生の直弟子・円丈と先代円楽(五代目)の一番弟子・鳳楽が継承に意欲を燃やし、襲名争いにまで発展しましたが、現在まで空位のままです。当代円楽は自分が継ぐと前々から話しており、インタビューでも『(襲名は)もう、私が動けば決まっちゃうことだと思う』と断言していました」
しかし、そうなると気になるのは「円楽」の名跡の行方だ。現在、後継の最有力候補として挙がっているのが、三遊亭王楽(44)だという。
「彼は同じく笑点メンバーである三遊亭好楽(76)の長男で、五代目円楽の最後の弟子として早くから注目され、真打昇進も他の一門の同期に比べて数段早かった。実力は折り紙つきで、人柄もいいそうです。見た目も華があるので、客入りも期待できると言われています」(同前)
だがここにきて意外なライバル候補が浮上しているという。一門会関係者が明かす。
「円楽さんの息子の三遊亭一太郎さん(34)です。現在は、落語家と声優の二足の草鞋で活動する彼ですが、今年の6月には襲名披露もせず、祝儀ももらわないという変則的な形で真打に昇進しています。
『一度は声優としてよその水を飲んでいたのが“父の危機と悲願を前に本格的に落語に戻ってきた”というストーリーは話題になるのではないか』という思いから、一太郎さんを推す人もいると聞きます」
好楽の息子と円楽の息子という笑点メンバーの2世たちに、にわかに湧いた後継争い。「七代目円楽」という座蒲団を奪うのはどちらか。
※週刊ポスト2022年9月16・23日号