スポーツ

福留孝介と内海哲也の引退で考える「ドラフト1位指名拒否」は遠回りか否か

引退会見をする中日・福留孝介(9月8日。時事通信フォト)

引退会見をする中日・福留孝介(9月8日。時事通信フォト)

 今年も大物選手が球界を去っていく。8月16日に西武の内海哲也(40)、9月8日に中日の福留孝介(45)が今季限りでの現役引退を発表した。

 2人には球界入りした際に、共通点がある。「ドラフト1位指名」を拒否したことだ。PL学園高校で1年からクリーンアップを任された福留は1995年秋のドラフトで7球団から1位指名を受ける。近鉄の佐々木恭介監督がクジを引き当て「ヨッシャー!」と喜びを爆発させたが、福留は入団を拒否して日本生命に進み、3年後に中日を逆指名して1位で入団した。

“北陸のドクターK”と呼ばれた内海は敦賀気比高3年の2000年、オリックスから1位指名を受けるが、祖父の内海五十雄と同じ巨人でプレーしたいという意思を貫き、3年後に自由枠で巨人に入団した。

 昨年までのドラフトで26人(投手22、野手4)が1位指名を拒否しているが、福留や内海のように、後年、再び1位指名を受けた選手は半数の13人(投手11、野手2)になる【※自由枠含む。江川卓は1位指名を2度拒否して、3度目の1位指名でプロ入り】。福留以前に1位を拒否した高校生で、もう一度1位指名されたのは江川卓と元木大介しかいなかった。

 高校時代に1位指名される実力を持ちながら、大学や社会人で同じ力を保つのは簡単なことではない。

 鳴門高の住友一哉は1975年阪急、崇徳高の黒田真二は1976年日本ハムの1位指名を拒否したが、住友は1982年近鉄6位、黒田は同年ヤクルトのドラフト外で入団している。通算成績は住友18勝、黒田0勝だった。

 原辰徳が目玉だった1980年のドラフトでは阪急が松商学園の川村一明、日本ハムが秋田商の高山郁夫を1位指名したが、2人とも西武系列のプリンスホテルに進んだ。他球団が指名しても拒否すると想定されたこともあり、川村は1983年4位、高山は1984年3位で西武に入団した。しかし、通算成績は川村7勝、高山12勝に終わった。

 打者では秋田商の武藤一邦が1976年に南海の1位を拒否し、法政大学に進学。1980年にロッテから2位指名を受けて入団したが、プロ8年間で1軍出場は77試合、通算8安打に終わった。

 大学生が社会人に進んだり、社会人が会社に残留したりするなど、最初の1位指名を拒否した例も複数ある。

 日本鋼管の木田勇は1978年に広島から1位指名を受けるも会社に残り、翌年日本ハム1位で入団。ルーキーの年に22勝を挙げたが、大活躍はその年だけ。1990年、野茂英雄と同じ史上最多の8球団から1位指名を受けた亜細亜大学の小池秀郎はロッテ入団を拒否。松下電器を経て3年後、1位で近鉄に入団した。1997年に15勝で最多勝に輝いたが、2ケタ勝利はその1度だけだった。

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン