夜になると脚がむくんで、靴やジーンズがキツくなる、朝起きると顔がパンパンになる……。そんな「むくみ」が実は、体の中でも起きているという。しかも、放っておくと大病につながることも。水は飲むより、出す方が大切なのだ。
たまった夏の疲れや気温の変化……季節の変わり目になると、どうしても体調にも変化が出てくる。
肌荒れや便秘、胃もたれなど、なかなか消えない不調の原因は、水分バランスの乱れによって、胃腸がむくんでいるのかもしれない。
福岡天神内視鏡クリニック院長の秋山祖久さんは「腸のむくみ」は内視鏡で見れば一目瞭然だと話す。
「脚や顔と同じように、腸もむくみます。写真で見ると、腸管が細くなっており、粘膜が黒ずんで血管の走行がよく見えなくなっている。腸のひだも目立っているのがわかります。
何らかの原因で大腸の水分バランスが崩れると、水分が腸壁の粘膜にとどまり、うまく排出されなくなるのです」(秋山さん・以下同)
40代以上の女性は腸がむくみやすい
腸がむくむ原因の1つは食事。秋山さんは、味の濃いものを食べすぎるとむくみやすくなると指摘する。
「塩分・糖分が多いものや辛いものは、消化吸収の際に多くの水分を必要とするため、腸に水分が集まります。
通常、余分な水分は血管に吸収されて排出されますが、味の濃いものは食事中の飲み物の量が増えやすく、吸収が追いつかない。そうして、集まりすぎた水分が腸にとどまることで、むくんだ状態になるのです」
もう1つの原因はストレス。というのも、腸の動きには自律神経が深くかかわっている。
自律神経には、体のアクセルを踏む交感神経とブレーキをかける副交感神経の2つがあり、ストレスを感じると交感神経が優位に働き、うまくリラックスできなくなる。
腸は心身がリラックスして副交感神経優位のときに働くため、ストレスの多い生活を送っている人は、「むくみ腸」になりやすい。
さらに秋山さんは、このコロナ禍のストレスはもちろん、自粛生活のせいで、むくみ腸の人が増加しているのではないかと指摘する。
「むくみ腸の典型的な症状の1つが便秘です。コロナ禍になってからドラッグストアでいちばん売り上げが伸びたのは便秘薬だというデータがあります。
これは、以前と比べて座りっぱなしや家にこもりきりの時間が増えたのが要因だと考えられます。運動不足が続くと腸への刺激が減り、むくみ腸が悪化するのです。実際に、私のクリニックで便秘を訴える患者の4割がむくみ腸を抱えており、そのほとんどが運動不足です」