「基本的に、依頼された仕事は断らないのがモットーです。だけど最近、さすがに忙しくなってきて『少し待ってて、もうすぐ“落ち目”が来るはずだから』とお願いするようなことも増えてきました(笑い)。これまで800冊以上本を書いてきましたが、こんな状況は初めてです」
頭をかきながらそう話すのは精神科医で老年医学の専門家の和田秀樹さん(62才)。和田さんが上梓した『80歳の壁』、『70歳が老化の分かれ道』、そして『70代で死ぬ人、80代でも元気な人』はいずれも支持を得て、5月には週間ベストセラー新書部門のトップ3を独占した。人生100年時代の旗手として、連日、雑誌や新聞に引っ張りだこなうえ、新たな執筆依頼も多数舞い込んでいるという。
「朝は5時頃に起きて、3時間ほど原稿に取り組み、それが終わると曜日ごとに自費診療と保険診療の2つのクリニックで患者さんの診療にあたります。1日60人くらい診ることもありますね。これに加えて9月からは日本大学の常務理事になったので、週3日は会議漬け。家に帰ってからも3〜4時間は執筆に励み、その後やっと夜10時から夕食。食べ終えたらすぐに寝て早朝に起床する生活です」(和田さん・以下同)
目が回るような忙しさだが、その顔には疲労感どころか、しわもシミも少ない。
「周囲からも“大丈夫なの?”と聞かれますが、いたって健康です。見た目だって、自分ではテレビに出てくるほかの大学教授や医師と比べて、ずいぶん若いと思っている(笑い)。白髪もあまり生えないんです」
還暦を過ぎてなお第一線で活躍し続ける“異端の医師”は一体どうやって健康と若さを維持しているのか。
血圧200、お昼にラーメンとご飯、晩酌は必須
長寿の方法を唱える著名な医師だけに、さぞかし健康診断の数値は良好だろう──と思ったら大間違い。本人曰く、血糖値、血圧、コレステロール、中性脂肪の値のどれもが基準値よりかなり高い“現代医学における病気のデパート”なのだという。
「血糖値は660mg/dL。3年ほど前、かぜをひいた後、無性に喉が渇いて体重が減ったので、先輩医師に『もしかしたら糖尿病じゃないか』と言われて測り、判明したんです。医学的な正常値は100未満とされるので、糖尿病の最重症レベル。上の血圧も200mmHgを超えていました」
普通の人ならば卒倒モノの数値で、すぐにでも節制や投薬を始めるところだが、「がまんせず楽しく生きることが何よりも健康につながる」を信条とする和田さんはまったく動じない。
「食事制限はもってのほか。以前は朝食に大好きなステーキを食べていました。最近は忙しくなってしまったので、おにぎりや総菜パンがメインです」