イギリス国内のみならず、世界各国から悲しみの声がやまないことが、9月8日に96才でこの世を去ったエリザベス女王の偉大さを物語る。
エリザベス女王の葬儀は、9月19日、ロンドンのウェストミンスター寺院で催される。アメリカのバイデン大統領やフランスのマクロン大統領ら、各国首脳が出席する見通しとなる中、日本からは天皇皇后両陛下が参列される。当初は、秋篠宮ご夫妻の参列が検討されていたという。
「“穢れ”の考え方から、慣例的に『天皇は葬儀に参列しない』とされています。そのため、宮内庁幹部によると、葬儀には皇太子待遇の秋篠宮さまと紀子さまが参列される方向で調整されていました」(皇室記者)
紀子さまにとっては、イギリス訪問が実現すれば、次の皇后、そして将来の天皇の母として、英王室や各国の王室メンバーとの関係を深める機会になったはずだ。しかし9月10日、陛下が参列される方向で調整が進んでいることが報じられた。
「葬儀への参列は異例中の異例です。ただ、上皇さまが在位中に、ご旅行としてベルギー国王の葬儀に出席された“前例”があったことが後押しになりました。同時に、陛下が参列の強い意向をお持ちだったことも大きく影響しました」(宮内庁関係者)
陛下は皇太子時代から、折に触れて英王室との交流を温められてきた。
「学生時代、イギリスのオックスフォード大学に2年間留学されました。到着した陛下を、エリザベス女王はバッキンガム宮殿に招いて紅茶でもてなしました。陛下は、女王の第3子であるアンドルー王子と同い年。生まれたのも数日違いということもあり、わが子のように思われていたのでしょう」(前出・皇室記者)
夏のバカンスシーズンには女王一家の静養先であるスコットランドに招待され、故フィリップ殿下らも交えてバーベキューを楽しまれた。一方、チャールズ皇太子(当時)が故ダイアナ元妃と来日した1986年には、陛下が京都を案内されるなどしておもてなしをされた。振り返ると、皇室と英王室の深いつながりはそれ以前から続いていた。
「昭和天皇の初の海外訪問先がイギリスでした。また、上皇さまは皇太子時代にエリザベス女王の戴冠式に昭和天皇の名代として参列し、英王室のもつ歴史と伝統を肌で感じられました。後に会見で“世界の中における日本を考えさせる契機となりました”と語られるほど、上皇さまにとって感慨深いものでした」(前出・皇室記者)