ライフ

101歳の現役ピアニストが語る幸運な出会い「私は6歳の時に“好き”を見つけました」

6歳の6月6日にピアノを始めた

6歳の時にピアノに出会った室井摩耶子さん

 100歳以上の高齢者の数は毎年増え続け、日本だけでも約10万人にまで膨れ上がっている。人生100年時代は決して他人事ではない。そんな中、現役国内最高齢ピアニストとして知られる室井摩耶子さん(101歳)の新著『マヤコ一〇一歳 元気な心とからだを保つコツ』が話題を集めている。室井さんが“生涯の伴侶”となる、ピアノとの出会いを振り返る。

 * * *
 普段からあまり、年齢のことを考えたことがありません。「100歳を過ぎましたね。おめでとうございます」とお祝いの言葉をもらっても、「それ誰のこと?」なんて憎まれ口を叩くわたしですが、このところ、すっかり年寄りだと烙印を押されて困っています。

 年寄りって、寄ってたかっていたわられる存在ではないんですけどね。年を重ねて、音楽のことがこれまで以上に深くわかってきた反面、だからといって全部はわかっていないんだなあ。

 わたしと音楽との関係は相変わらず「すったもんだ」と揉みあいを続けつつ、日々の新しい発見を喜んでいる境地です。音楽に限らず、ひとつのことに打ち込んだ方や、何かお好きなことをお持ちの方は、わたしの気持ち、わかってくださるかもしれませんね。

 たとえば山登り。同じ山でも、登る日によって表情が違います。コンディションも天候も異なります。今日の山の表情と明日の山の表情はまったく違うのです。それを味わいたくて登るんじゃありません?

 料理もそうです。毎日家族のために作る料理も、一日とて同じ味にはなりません。そこに面白さを見出した方は、きっと料理が好きになるのでしょう。お掃除だってそう。街で「掃除のプロ」をお見かけすることがありますが、その世界ではまったく太刀打ちできません。

 わたしが幸運なのは、早くに「好き」を見つけたこと。6歳でピアノに出会っていなかったらどうなっていたかしら。「お転婆」と散々言われて育ったわたしのことだから、やっぱり飛び回っていたかしら。

 昭和の時代が幕を開けたころ、父がピアノを買い与えてくれました。昭和天皇の即位の御大典を記念した特別モデルで、正面に鳳凰の飾りが付いたアップライトのピアノでした。

 黒いふたを開けて、白と黒の部分をこわごわ、人差し指で押してみたら、ポーンという低い音が部屋中に響きました。あまりにも驚いて「ひゃっ!」と飛び上がってしまったくらいです。

 6歳というのには、理由があります。昔は「6歳の6月6日に芸事を始めるといい」という慣わしがありました。お琴も候補に挙がっていたようですが、「昭和にもなって、いまさらお琴でもないだろう。御大典記念モデルも発売されるというからちょうどいい。ピアノを習わせよう」と父が思いついたようです。

 父に感謝しなければなりませんね。このときにピアノがわが家にやってきたことで、一生涯付き合う本当の「伴侶」を、わたしは得てしまったのですから。

関連記事

トピックス

精力的な音楽活動を続けているASKA(時事通信フォト)
ASKAが10年ぶりにNHK「世界的音楽番組」に出演決定 局内では“慎重論”も、制作は「紅白目玉」としてオファー
NEWSポストセブン
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
ショーンK氏
《信頼関係があったメディアにも全部手のひらを返されて》ショーンKとの一問一答「もっとメディアに出たいと思ったことは一度もない」「僕はサンドバック状態ですから」
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン
ショーンK氏が千葉県君津市で講演会を開くという(かずさFM公式サイトより)
《ショーンKの現在を直撃》フード付きパーカー姿で向かった雑居ビルには「日焼けサロン」「占い」…本人は「私は愛する人間たちと幸せに生きているだけなんです」
NEWSポストセブン
気になる「継投策」(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督に浮上した“継投ベタ”問題 「守護神出身ゆえの焦り」「“炎の10連投”の成功体験」の弊害を指摘するOBも
週刊ポスト
長女が誕生した大谷と真美子さん(アフロ)
《大谷翔平に長女が誕生》真美子さん「出産目前」に1人で訪れた場所 「ゆったり服」で大谷の白ポルシェに乗って
NEWSポストセブン
九谷焼の窯元「錦山窯」を訪ねられた佳子さま(2025年4月、石川県・小松市。撮影/JMPA)
佳子さまが被災地訪問で見せられた“紀子さま風スーツ”の着こなし 「襟なし×スカート」の淡色セットアップ 
NEWSポストセブン
第一子出産に向け準備を進める真美子さん
【ベビー誕生の大谷翔平・真美子さんに大きな試練】出産後のドジャースは遠征だらけ「真美子さんが孤独を感じ、すれ違いになる懸念」指摘する声
女性セブン
『続・続・最後から二番目の恋』でW主演を務める中井貴一と小泉今日子
なぜ11年ぶり続編『続・続・最後から二番目の恋』は好発進できたのか 小泉今日子と中井貴一、月9ドラマ30年ぶりW主演の“因縁と信頼” 
NEWSポストセブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン