五輪汚職事件で逮捕されたKADOKAWA創業家の角川歴彦会長(79)。問題視されているのが逮捕前の発言だ。
記者団の取材に応えた角川氏は、「私は決裁に関わっていない」としたうえで、賄賂の認識について「全くない。自分たちの精神を汚してまで仕事しろなんて言わない。社員が不正をしていないということについて僕は信じたい」と言い、自身の責任は認めなかった。
だがその後、逮捕された部下は賄賂の認識があったと検察に供述。角川氏自身も逮捕され、進退に注目が集まる。そんななか、いち早く角川氏に辞任を迫っていたのが、KADOKAWAの前身である角川書店から独立し幻冬舎を創業した見城徹社長(71)だ。
見城氏は逮捕前の角川氏の発言を受けて、自身のSNSにこう書き込んでいた。
〈KADOKAWAは角川歴彦会長の超ワンマン会社である。角川歴彦氏が主導しない限り7600万円の賄賂を支出することは不可能だ。KADOKAWAの社員たちが一番それを解っている。検察もそれくらいは掴んでいるはずだ。部下を犠牲にして自分は逃げ切れると謀っていること自体が卑しいよ〉
〈逮捕された元・室長が賄賂と認識して支払ったと供述している以上、角川歴彦氏は取締役を辞任して責任を取るべきだ。それとも7600万円のことは全く知らなかったで通すつもりか?〉
〈自分が逮捕される前にやるべきことは辞任だろう。卑しくないことを示して欲しい〉
上場企業として、メディアとして
見城氏がメディア界の大物に突きつけた辞任要求は大きな波紋を呼んだ。賛同の声を上げたのは、数々の企業を取材してきた経済ジャーナリスト、荻原博子氏だ。
「まだ検察の捜査中なので状況次第ではありますが、会長退任も含めた厳しい対応が必要ではないでしょうか。私はKADOKAWAと仕事をしていますが、それとこれとは全く別問題です。
7600万円もの巨額の資金提供にどんなメリットがあったのか疑問です。一役員や社員がこんな大金を勝手に支出したのであれば、会社への背任行為にも繋がりかねず、少なくとも普通の大企業ではあり得ません。AOKI同様、創業家の会長に力があるワンマン企業だったからできたとしか思えない。