源頼朝(大泉洋)の死後、身内同士の権力闘争が続いているNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。頼朝の後を継いだ二代将軍・源頼家(金子大地)は北条家によって追放され、第32話では頼家の弟、実朝(柿澤勇人)が三代将軍に就任した。
若くして将軍となった実朝の側近として登場したのが、生田斗真演じる源仲章だ。仲章は京都の後鳥羽院(尾上松也)の近臣だが、鎌倉幕府の在京御家人でもある。生田は6月の出演発表の際、仲章について「スパイのような役回りをしていたのではないかと言われる人物です。思い切って大胆に演じたい」と語っている。
時代劇研究家のペリー荻野氏は、今後の展開でこの仲章に注目しているという。
「源仲章はこれまでドラマなどであまりクローズアップされてこなかった人物です。しかし今回、生田斗真君が配役になったと聞いた瞬間に、『あ、これは三谷さん、何か仕掛けるな』と思ったんですよ」
生田はテレビドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン♂パラダイス』(2007年)で爆発的人気を上げた、言わずと知れたスター俳優。大河ドラマの出演は『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(2019年)以来3度目だ。『鎌倉殿の13人』でも第31話での初登場以降、第34話で平賀朝雅(山中崇)に北条時政(坂東彌十郎)の子・政範(中川翼)の毒殺を唆すなど、幕府内の権力闘争をひっかき回し存在感を示している。
歴史上では仲章はこの後、非業の死を遂げることになる。歴史資料『吾妻鏡』によれば、実朝の鶴岡八幡宮での『拝賀』の儀式で太刀持ちを務める際に、頼家の子である公暁(寛一郎)に実朝とともに暗殺されてしまう。
「もともとは北条義時(小栗旬)が実朝の太刀持ちを務めるはずだったのが、直前の体調不良で義時に変わって仲章がお供することになる。結果、実朝暗殺の巻き添えを食って死んでしまうんですよね。実朝の暗殺は裏で三浦義村(山本耕史)が糸を引いていたという説もあるし、その義村と義時がつながってて邪魔者の仲章を殺そうとしたとも考えられる。
仲章の役を、生田斗真君は嫌味な、京都のいかにも感じ悪い人として凄く印象的に演じてるじゃないですか。実朝暗殺のついでってだけじゃなくて、義時にハメられるとか、その過程には絶対に複雑でドロドロな謀略があると思いますね」(ペリー氏)
生田が演じる仲章が、実朝の「ついで」で終わるはずがない──。嫌らしい京都のスパイ役が迎える結末に注目だ。