これまで数々の”飯テロ”で話題を呼んできたテレビ東京が、さらなるグルメ番組戦略を打ち出してきた。キャンペーンにより「テレ東=グルメ」というイメージを前面に押し出してきたのだ。どんなキャンペーンなのか? そしてその狙いとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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テレビ東京が秋の改編説明会を開き、『孤独のグルメ Season10』を10月7日から放送することを発表しました。さらに驚くべきは、これまで放送されたSeason1からSeason9までの全話を約半年かけて再放送されること。“飯テロ”の代名詞でありファンの多い作品だけに、ネット上には喜びの声が飛び交っていました。
ただ、テレビ東京のグルメ番組に関わる戦略はそれだけではありませんでした。シルバーウィーク(19~25日)に、「テレ東系 食べる1週間! 食べ東 世界を幸せ口にする」というグルメキャンペーンを開催するのです。
期間中は多くのレギュラー番組でグルメをフィーチャーするほか、池袋でリアルな食イベント「食べ東グルメパーク」を開催。さらに対象番組を見ると応募できるお食事券プレゼント企画(1万円×1000人)やグルメ福袋などもあり、番組を見るだけではなく、実際に食べて楽しめる形になっています。
それ以外では、配信でも7月にファンコミュニティサイト「テレ東ファン支局」で実施された「もう一度見たい!テレ東グルメドラマ」のファン投票で選ばれた『きのう何食べた?』『珈琲いかがでしょう』『ゲキカラドウ』などがTVerで配信されます。
日ごろの地道な積み重ねで日本一に
民放各局は連日多くのグルメ番組を放送していますが、大々的なキャンペーンを行い、放送から配信、イベント、プレゼントまで、あらゆる項目でグルメをフィーチャーしているのはテレビ東京だけ。さらに言えばグルメの内容も、外食からテイクアウト、お取り寄せ、レシピまで、さまざまな角度から見せることで、年齢性別や地域を問わず多くの人々を楽しませています。
テレビ東京がこれほど多岐に渡るグルメキャンペーンができる最大の理由は、日ごろの地道な積み重ね。テレビ東京というと『孤独のグルメ』を筆頭に「深夜の飯テロ」というイメージが強いかもしれませんが、実は昼も全曜日でグルメ番組を放送しています。
平日昼は『虎ノ門市場』『昼めし旅』、土曜昼は『ほほおちゴハン!』を放送し、極めつけは日曜昼。現在は、11時からドラマ『よだれもん家族』、料理レシピ番組『男子ごはん』、料理コーナーも充実した『種から植えるTV』、ドラマ『今夜はコの字で Season2』と約2時間に渡ってグルメ番組を放送しているのです。
その他、ゴールデンタイムにも『タクシー運転手さん 一番うまい店に連れてって!』『デカ盛りハンター』、深夜にも『二軒目どうする?~ツマミのハナシ~』『ザ・ファーストレシピ』があるほか、『出没!アド街ック天国』や『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』などもグルメをメインコンテンツとして放送しています。
これだけ多いにもかかわらず、「まだまだ新たなグルメ番組を作ろう」という姿勢もテレビ東京の強み。19日に「隠れすぎ名店探索バラエティ」と題して、やっているのかいないのか入るのに勇気がいる店を探索する2時間特番『すみません、ココやってますか?』を放送するなど、まさに独走状態です。
テレビ東京自身、「日本で一番グルメ番組を作るテレビ局と言っても過言ではない」とコメントしていますし、今春の改編キャッチフレーズも「テレ東の必殺技 アニメ・グルメ・ドラマ多メ」でした。つまり、現在は「“グルメ=テレ東”を自ら打ち出すことで視聴者にイメージ付けしよう」という段階に入っているのです。