体が不調を感じた時に頼りになるのが薬。特に高齢になると体のあちこちに不調が出てきて、薬のありがたみを感じることも多いだろう。一方で、複数の薬をのむようになり、75才以上の41.1%の人が実に5種類以上もの薬をのんでいるという厚生労働省のデータもある(2016 年社会医療診療行為別統計)。薬と上手に付き合うためにはどんな点に注意すれば良いのか。
●嗜好品や食習慣を病院や薬局で伝える
「医師や薬剤師にはのんでいる薬だけではなく、常用しているサプリメントや漢方、嗜好品を伝えてほしい。牛乳が好きで毎朝飲む、コーヒーを1日5杯飲む、たばこを吸う、グレープフルーツが好きなどを伝えれば、その習慣に合わせて薬を変更できる可能性もあります。また、夜間や注意力が必要な仕事をしているなど生活状況も伝えることで、のむタイミングを考えて処方してくれることもあります」(薬剤師の三上彰貴子さん)
●お薬手帳は一冊にまとめる
「病院や薬局によって、お薬手帳を使い分ける人がいますが、重要なのはどこでも同じ手帳を使い、使っている薬を一元管理することです。風邪薬など市販薬の情報だけではなく、常用しているサプリメントやビタミン剤なども書いておく。もし、以前のんでいた薬で副作用が出たらメモすることを忘れないで。お薬手帳を更新するときは、そのメモも切り取って新しいお薬手帳に貼りましょう」(三上さん)
●日本人と相性がよくない薬もある
「例えば、消化が悪いからといってすぐ胃薬に頼らず、消化酵素を食品から摂るようにしてください。一例を挙げると、焼き魚にはすりおろし大根。大根にはデンプンを分解するジアスターゼのほか、たんぱく質を分解するプロテアーゼや脂質を分解するリパーゼなどさまざまな消化酵素が豊富に含まれています。多くの日本人は胃酸の分泌が少ないので、胃酸を抑える『ランソプラゾール』はほとんどの人には必要ないのです」(アクアメディカルクリニック院長の寺田武史さん)
●薬を減らしたい場合はきちんと意思表示を
「薬を少なくしたいという要望をまずは率直に、医師に伝えてください。痛みやかゆみで薬を使うのは仕方ないかもしれませんが、食生活を改善したり運動習慣を身につければ、体の不調をとりのぞけるケースも多いのです。薬を減らしたいなら栄養療法を取り入れている医師に診てもらうのもいいですね」(寺田さん)
取材・文/土屋秀太郎
※女性セブン2022年9月29日・10月6日号