イギリスのエリザベス女王が亡くなり、9月19日にはロンドンのウェストミンスター寺院で盛大な葬儀が執り行われたが、1997年までイギリスの植民地だった香港の多くの人々が葬儀の前後、英国総領事館を訪れ弔意を表していることについて、親中国系香港紙「大公報」などが「香港の人々はまだ植民地根性が抜けていない」と批判し、反中機運の高まりを警戒する論調を掲げた。
これについて、市民からは「香港返還後、中国がまともに香港を統治していたら、これほど女王を慕う雰囲気は生まれなかっただろう」などの声が出ている。BBCなどが報じた。
香港の英国総領事館は女王が死去した9日正午(香港時間)、一般向けに女王への哀悼の意を表す弔問簿を設置。多くの香港市民が女王への敬意と追憶を込めて領事館の前に花やカードを捧げ、女王への思いを新たにしていた。
これに対して、13日付の大公報は1面に、「女王に敬意を表したのはごく一部の香港人であり、香港社会の主流を代表していない」とのオピニオンを掲載した。また、「反中国分子」と「反中国メディア」が、「香港人の植民地時代の懐かしい思い出を捏造する記事」も出し、香港国家安全維持法施行後の香港の新しい状況を攻撃しているなどと批判した。
このような同紙の「意見」について、ネット上では「かつての宗主国の女王の死を悼むのが悪いのか」、「中国がまともな政治をしていたら、違っただろうが、これは中国への間接的な批判だ」などの中国批判の書き込みが相次いだ。
さらに「中国の習近平国家主席は女王の死後、後継者のチャールズ3世に弔電を送り、女王の死に深い哀悼の意を表した。中国の王岐山副主席も駐中国英国大使館を訪れ弔意を表したあと、ロンドンでの葬儀に参列した。それなのに、なぜ大公報は香港の人々が女王の死を悲しんでいることを批判するのか」などとの声も出ている。
英国総領事館前で19日夜、女王の国葬のパブリックビューイングに集まった数百人の市民らが「香港加油(頑張れ)」と叫び、反政府抗議活動のテーマソング「香港に再び栄光あれ」を合唱。待機していた多数の警官が駆け付け、ハーモニカで曲を演奏していた男性らが警察車両に連行され、会場が一時、騒然となる事態も起きていた。