一昨年9月場所で初優勝し、大関昇進を果たした正代。以来、4度のカド番を経験してきたが、流石に今場所はつらすぎる星勘定となった。初日の白星の後、2日目からは地獄の連敗街道に陥り、8連敗で9日目にして負け越し。休場や不戦敗を含まない大関が9日目で負け越すのは1場所15日制導入以降で初めてという不名誉な記録となった。
ただ、「負けが込んだら適当な診断書を出して休場する横綱や大関が珍しくない」(若手親方)というなかで、10日目以降も土俵に上がり続けたのは、簡単には休めない理由があったからだ。
「正代は場所後の10月23日に、都内のホテルで700人規模の大関昇進披露パーティーを開く予定なのです。貴景勝が新大関だった2019年5月場所で途中休場し、場所後に昇進パーティーを開いた例はあるものの、この時は本当に深刻なケガで翌場所も全休している(陥落後、1場所で大関復帰)。正代は大きな故障がないなかで、休場後のパーティーとなるのが心苦しかったのでしょう」(同前)
正代の大関昇進は2年も前だが、カド番を繰り返したことやコロナ禍の影響もあってパーティーが延び延びになっていた。
「先の7月場所は10勝5敗でカド番を脱したので、このタイミングならいいだろうと開催が決まった。場所前の取材で正代は“(9月場所は)カド番にならないように勝ち越して、優勝争いに関われるぐらいにしていきたい”と意気込んでいたが、ここまで黒星を重ねてしまうとは……」(担当記者)
こんな状況で開催するのだろうかと疑問にも思えるが、そう簡単に延期はできないという。
「昇進パーティーで集まる祝儀は3000万~5000万円が相場。こういった祝儀を積み重ねて引退後の年寄株入手や部屋開きの資金にしていくのです。すでに会場も押さえているので、開催しないという選択はない。名門・時津風部屋は後援会組織もしっかりしているので、どのような状況でも正代を支えるでしょう。ただ、来賓挨拶はお祝いというより、奮起を促す激励会のような内容になってしまうのではないか」(前出・若手親方)
それでも、今場所カド番で負け越して、昇進パーティーを開けないまま大関陥落となった御嶽海よりは、まだマシなのかもしれないが……。
※週刊ポスト2022年10月7・14日号