ヤクルトのセ・リーグ連覇の陰で、巨人はクライマックスシリーズ進出も危うくなってきた。3位の巨人は9月23日からの最下位・中日との3連戦で負け越し、4位の阪神、広島とのゲーム差が0.5に縮まった。24日は戸郷翔征が6回2失点と好投するも岡本和真のソロ1点だけに終わり、25日は菅野智之が5回途中で4失点KOされ、中継ぎ陣も打たれて7対1で完敗した。
「9月の勝負所に来て、原辰徳監督は先発で1失点のメルセデスを4回途中で代えたり、好調の4番・中田翔にバントさせたり、思い切った采配で勝利を呼び寄せてきました。しかし、25日の中日戦では3点を失った菅野を降板させ、中継ぎに畠世周を送ってビシエド、木下に連打を浴びて5点差になった。普段通りの継投でしたが、絶対に負けられない試合なので違う手もあったのではないかという声も出ています」(プロ野球担当記者。以下同)
巨人が残り2試合に勝っても、阪神と広島が残り3試合に全勝すれば同率で並ぶ。その場合、順位は3チーム間の直接対決の成績合算で決まるため、3位・広島、4位・阪神、5位・巨人となる。堀内恒夫監督が辞任に追い込まれた2005年以来、17年ぶりの5位もあり得る状況になってきた。
「もしそうなっても、3年契約の2年目である原監督は辞めそうにありません。巨人は昨年に続き、今年も負け越し。この2年連続の屈辱は2005年の堀内監督、2006年の原監督以来2度目ですが、同一監督の2年連続負け越しはチーム史上初です。本来なら、自ら辞任してもおかしくない状況ですが……」
グラウンド外ではキャプテンの坂本勇人の女性トラブルが報じられ、『巨人軍は常に紳士たれ』のチーム憲章は虚しく響くばかりだ。
「チームの長である原監督の責任も問われるべきでしょう。原監督自身が現役時代の女性問題で元暴力団員に1億円を支払っていたと2012年に『週刊文春』の報道で発覚しました。巨人は名誉毀損の裁判を起こしたが、原監督が退任した翌年の2016年に敗訴が確定している。野村克也氏が『組織はリーダーの力量以上には伸びない』という言葉を残しているように、リーダーである監督は全選手の模範となるべき存在です。坂本には『監督の問題も風化しているし、野球で結果を残せば文句ないだろう』という甘えがどこかにあったのではないでしょうか」
巨人は人気低迷も囁かれている。今シーズン、主催試合の平均入場者数は3万2199人で3年ぶりに阪神に入場者数1位の座を明け渡すことが確実になっている。
「どのチームもコロナ禍で観客動員に苦しんでいますが、巨人はコロナ前の2019年と比べて1万人も減っている。熱心なファンが集まるライトスタンドに空席が目立つようになったのも気になります。この急降下の原因を考えないといけない。
もう昔のような超人気チームではありません。勝てば観客は増えるでしょうけど、それだけではダメ。根本的に魅力のあるチームにしないといけない。坂本のような女性を雑に扱う選手が何の処分も受けずにプレーしていては、普通のファンは嫌悪感を示すと思います。監督はチームを預かる人間として自らの監督不届きを感じて当然ですし、今までの巨人なら2年連続負け越しの時点で球団が監督交代に動いたでしょう。そうした意味で、巨人OBの松井秀喜氏は本当にクリーンで人格者だった。もし松井氏が監督に就任すれば、いろいろな意味で刷新されますが、そう簡単にいくかどうか」