巨人生え抜きのスター選手・坂本勇人(33)の女性スキャンダル。9月10日付の『文春オンライン』は、坂本が20代女性に繰り返し性行為を要求し、女性が妊娠すると「本当は今すぐ堕ろせよって言いたい」などと発言したと報じた。そうしたなかで奇妙だったのが、「大メディア」の反応だ。坂本のスキャンダルに対し、テレビ局、スポーツ各紙は完全スルーを決め込んだのだ。
一連の騒動の違和感に拍車をかけたのが、騒動直前に批判の嵐だった俳優・香川照之との扱いの違いだろう。
銀座のクラブでホステスにセクハラした香川はテレビやスポーツ紙でも糾弾され、CMや番組の降板に追い込まれた。
香川と坂本を大きく分けたのは「スポンサー」の違いだと考えられる。
香川はトヨタやサントリーといったナショナルクライアントのCM、TBSの朝の情報番組などを担当し、社会的に責任を取ることを強く求められた。降板が相次いだのもスポンサーの厳しい対応ゆえのことだ。
一方、個人事業主の野球選手である坂本にとってスポンサーと言えるのは読売巨人軍の親会社である読売新聞社や傘下の報知新聞、日本テレビくらいのもの。巨大なメディア・コングロマリットである読売グループが“沈黙”を決め込めば、他メディアが進んで糾弾するのは難しいようだ。
「香川さんの場合、大手企業が次々と反応したことで記事にできたが、坂本は球団の対応がないから書きにくい。系列紙の報知が坂本のインタビューを載せたり球団内部のことを書けば追随したが、それもなかった。どの社も『先頭を走りたくない』と思って報知が書くまで待っている状況ではないか。それこそが球団側が望んでいる状況かもしれませんが」(在京のスポーツ紙デスク)
元博報堂社員で作家の本間龍氏は巨人と大メディアの間に漂う「なあなあの関係」を指摘する。
「スポーツメディアは球団からもらう情報を飯のタネにしているわけで、球団と仲違いする理由がない。今季の巨人はボロボロなのに、原監督を批判しないのもそういう背景があるからでしょう。選手が刑事事件を起こしたら報じるでしょうが、それ以下のレベルなら“放っておけばいい”と思っている。香川照之が袋叩きになって坂本勇人が叩かれないのは、巨人という名前に守られているから。坂本を叩きすぎると巨人との関係が悪化することをメディアは恐れているのでしょう」
2021年1月に遠征先での不倫や虚偽報告を報じられ、その後球団から契約を解除されたロッテの清田育弘の際は、各スポーツ紙や昼のワイドショーでも盛んに報じられた。
「坂本とは扱いがまったく違いました。このケースはロッテが厳正な処分を下したことが“ゴーサイン”になった」(前出・スポーツ紙デスク)
ちなみに、この騒動についてはスポーツ報知も度々報じていた。
※週刊ポスト2022年10月7・14日号