先頭に立たれた秋篠宮さまに続いて、紀子さまが、安倍晋三元首相の国葬が行われた日本武道館(東京・千代田区)内の祭壇の前に歩みを進められた。黒に身を包まれ、献花の際には秋篠宮さまの一歩後ろに控え、最後にはぎゅっと目を閉じ深い弔意を示された。
厳かで静謐な空気が流れる一方、会場の外には喧騒が広がっていた。武道館の周囲には600人を超すデモ隊が集まり、「国葬反対」を声高に叫んでいた。その光景をお知りになった紀子さまの胸の内に、どのような思いが去来しただろうか。
安倍氏の国葬には、秋篠宮ご夫妻をはじめ、7人の皇族方が参列した。ところが、そこに天皇皇后両陛下の姿はなかった。
「そもそも天皇陛下は、誰の葬儀にも参列されないのが慣例です。“けがれ”からは遠ざかるという考えがあるためのようで、『死』はそのけがれの最たるものだからです」(宮内庁関係者)
だが、そのわずか1週間前の9月19日、日本から遠く離れたイギリスで、両陛下は本来避ける「葬儀」に参列されていた。エリザベス女王の国葬だった。
「両陛下にとって、即位以来はじめての海外訪問でした。コロナ禍になってからは国内の地方公務でさえままならない状態でしたが、両陛下にイギリス留学のご経験があった上、陛下は皇太子時代からエリザベス女王との親交を重ねられており、たってのお気持ちの強さから、異例の“葬儀参列”が実現しました」(前出・宮内庁関係者)
世界中に生中継されたエリザベス女王の国葬は、荘厳で優雅だった。多くのイギリス国民は、慈愛に満ちたエリザベス女王の死に涙を流し、別れを惜しんだ。一方、2泊4日という過密な訪英日程が雅子さまのご負担にならないかと懸念もされたが、現地での雅子さまの振る舞いは、堂々たるものだった。
「帰路につく際、両陛下が宿泊されたホテルの責任者が見送りに来たのですが、周囲が暗かったこともあり、陛下は気づかず車に乗り込まれそうになりました。その折、雅子さまが前を歩かれる陛下をさっと呼び止められたのです。おふたりは責任者にお礼を述べ、握手を交わされました。きっとお疲れはあったでしょうが、その色を見せることなく、雅子さまは周囲に気を配られていました」(皇室記者)
だが、前述した慣例に従えば、秋篠宮ご夫妻がロンドンに足を運ばれるはずだった。
「実際、エリザベス女王の訃報が知らされた直後には、宮内庁内部では秋篠宮ご夫妻の訪英の可能性がささやかれました。
ところが、陛下のお気持ちに加え、イギリスからは葬儀への2名分の招待状が届いた。両陛下を名指しで招待するものではありませんでしたが、英王室と皇室とのこれまでのつながりの強さや、エリザベス女王と両陛下のご関係を考えれば、2名分の招待状がどなたのためのものかは想像がつきます。すぐに両陛下の参列に向けた検討が始まり、秋篠宮ご夫妻の訪英は立ち消えになりました」(前出・宮内庁関係者)