中森明菜が活動再開に向け動き出し、松田聖子も苦難を乗り越えステージに立ち続けている。昭和を代表する2人のアイドルが、年末の紅白で揃って歌声を届けてくれるかもしれない──。中森明菜を見つめ続けた3人が「紅白で聴きたい名曲」を選んだ。
評論家・白川司氏『ミ・アモーレ〔Meu amor e…〕』
「初期の明菜さんは『スローモーション』に代表される“情緒系”と、『少女A』などの“ヤンキー系”とを交互に歌っていましたが、いずれもアイドルらしい内気な少女の恋愛を描いた歌でした。
『ミ・アモーレ』は当時の日本人に馴染みの薄い南米を舞台に情熱的な女性を描いて、“脱アイドル”を印象づけました。不安定ながら抑制の利いた出だしと、“アモーレ(恋人)”と伸びやかに歌いきるサビのコントラストが印象的でした。明菜さんが“プロ歌手に脱皮した”と確信できた楽曲。表現力において大きな飛躍を遂げた一曲として、紅白で聴いてみたいと思っています」
【プロフィール】
白川司(しらかわ・つかさ)/評論家、翻訳家。国際情勢からアイドル論まで幅広く活動する。著書に『14歳からのアイドル論』(青林堂)、『日本学術会議の研究』(ワック)などがある。
女優・川田あつ子さん『スローモーション』
「今回、明菜が出場したら、再出発になりますよね。その意味でも、デビュー曲の『スローモーション』を聴きたいな。私は同じ82年組で、歌番組で何度か一緒になりました。仕事に真摯に向き合う人で、ちゃんと歌えないとすごく悔しそうにしていました。
充電中、彼女は自分の心情を詞に綴っていると思います。その新曲も歌って、数年間どんなことを考えていたのか伝えてもらえたら、ファンの方もうれしいんじゃないかな。明菜はお母さんの夢を叶えたくて、歌手になった部分もある。再スタートの歌声が天国に届くといいですね」
【プロフィール】
川田あつ子(かわだ・あつこ)/1965年生まれ、東京都出身。1982年、CBS・ソニーから『秘密のオルゴール』でデビュー。明菜は1983年発売の著書で、川田と頻繁に長電話していると綴っていた。