ついこの間までNHKの“朝の顔”として視聴者を和ませていた桑子真帆アナ(35)が、看板報道番組のキャスターとして落ち着いた姿を見せている。今年4月から『クローズアップ現代』のキャスターに就任。『ブラタモリ』『ニュースウオッチ9』『おはよう日本』、さらに『NHK紅白歌合戦』まで、NHKの看板番組を歴任し、押しも押されもせぬNHKのエースだ。
桑子アナには常に口にするアナウンサーとしての信念がある。「わからないことは『わからない』と言うこと」──このスタンスはどの番組でも一貫している。『ニュースウオッチ9』で共にキャスターを務めた桑子アナとの対談で、有馬嘉男記者はこう語っていた。
〈一緒に番組をやっているとね、「次、いきましょう」という言葉の裏に、「でも私、今の有馬さんの解説、全然納得してませんけど」という胸の内が透けて見えることがある。そうすると、こっちは「くそー、きょうはダメだったか」という気持ちに(笑)〉(『NHKウイークリーステラ』2017年4月7日号)
さらに、わかった“ふり”や嘘をつくことができないという桑子アナを、有馬記者はこう評した。
〈何がすごいって、「自分が感じたことや思ったことしか言わない」というキャスターがいて、それを番組が認めていて、それどころか大事にしているという事実ですよね。
つまり、桑子さんは、僕らにとって、視聴者を代表する存在。打ち合わせで、桑子さんに「わからない」と首を横に振られると、内心がっかりしたり、ムカッとしたりするんだけど(笑)、皆、「そうか、わからないか~」と受け止めて、じゃあどうやったらわかってくれるのかと、映像もコメントも練り直すわけですよ〉(同2017年11月10日号)
予想外の方向に話が進む
その信念は、『クロ現』のキャスターになったいまも変わらない。同番組に何度も出演してきた国立環境研究所室長の五箇公一氏が語る。
「これまで国谷裕子さんの時から、鎌倉千秋さん、武田真一さんなど歴代キャスターの方とご一緒させていただきましたが、6月6日放送の回で初めて桑子さんにお会いしました。
『クロ現』にはずっと踏襲されている型のようなものがあって、MCが代わっても番組自体はブレない。その中で4月に代わったばかりの桑子さんは違和感もなく、生放送の中で動じることもなく、非常にスムーズに進行してもらいました。長いことやられた国谷さんは瞬時に話の流れを理解して繋いでいくのが上手で“特級”でしたが、桑子さんにも同じようなイメージを抱きました」