北朝鮮が、新型コロナウイルスの感染収束に伴う近い将来の中国との国境開放を見込み、中国に対して総額25億ドル(約3600億円)もの北朝鮮国内での大規模太陽光発電所建設の投資計画をもちかけていることが明らかになった。この見返りとして、北朝鮮は中国に対し黄海に面する北朝鮮西部沿岸に50平方キロもの魚介類養殖場を10年間無償リースするという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮は電力不足を補うために、10年ほど前から中国から太陽光発電システムを購入し、国有企業や商業施設、交通機関などに電力を供給するなど電力の自力生産に取り組んできたが、新型コロナウイルスによる国境封鎖で、太陽光発電拡大計画はストップしていた。
このような経緯から、今回のプロジェクトは実現すれば、北朝鮮最大級のエネルギー開発プロジェクトとなる。すでに、北朝鮮側から中国政府の関係部門に正式な要請が出され、中国側は関係機関の選定に入っているという。北朝鮮は国連の対北朝鮮制裁の範囲外にある西海岸の養殖場の権利を中国側に10年間無償貸与することで、中国からの投資を再び呼び込もうとしているようだ。
しかし、このプロジェクトは兵器開発など軍需経済を担当する「第2経済委員会」が主導しており、電力の大半は軍事関係部門で使用され、新たな核兵器開発に使用される可能性も否定できない。
計画によると、太陽光発電所は首都・平壌市に隣接するに黄海沿岸の南浦特別市に建設予定で、250万キロワットという大規模なもの。
金正恩・朝鮮労働党総書記は9月8日の最高人民会議の施政演説で非核化を明確に否定し核兵器生産を続ける意向を示しており、今回の計画が純粋な経済計画に基づくものであることは疑わしいようだ。