歳を取ったと感じやすいのが「目」「視力」ではないだろうか。少しずつ「近視」が進み、40を過ぎた辺りからは「老眼」に悩まされる。目の若返りを目指すうえで、薬などに頼らずできることがある。「ツボ押し」も試してみる価値がある。Y’sサイエンスクリニック広尾の日比野佐和子統括院長が解説する。
「東洋医学におけるツボは神経が集まる場所で、ツボを刺激すると自律神経の乱れが改善されて体の機能が回復するとされます。特に目の周りには、眼精疲労や血行促進によいツボが集中しています」
図に沿って解説していく。眉毛の鼻側の端に位置する骨のくぼみが【1】攅竹(さんちく)で、目の疲れやかすみ目にいいという。
「両手の親指を使って頭の中心に向かって押し上げます。目の疲労を和らげるだけでなく、まぶたのむくみなどの改善も期待できます」(日比野医師)
目頭の少し上、やや鼻寄りにある【9】睛明(せいめい)は、毛様体筋に効くとされる。
「両手の親指で鼻に向かって押し上げるように刺激すると、目の血流を改善し、毛様体筋の緊張がほぐれることにより疲れ目や視力低下の改善につながります」(同前)
目尻から指1本分ほど耳に寄った場所にある【5】瞳子りょう(どうしりょう)は、眼精疲労や目の痛みを和らげることが期待される。
「両手の中指で骨のキワを刺激すると、目の周りの筋肉がほぐれて眼精疲労の緩和、目の奥の痛みや頭痛の改善につながります。また、瞳から真っすぐ下にたどり、目のくぼみの骨のキワにある【6】承泣(しょうきゅう)は、両手の人差し指を骨にひっかけて、押し出すように刺激すると目のかゆみや充血に効果的と考えられています。
いずれも1度に1~2秒で、回数は2~3回。強さの目安は、『イタ気持ちいい』と感じる程度です」(同前)
一方、「眼精疲労治療室」を開設し、眼精疲労の専門的な治療を行なう吉祥寺森岡眼科の森岡清史院長は、「ツボ押しは近視に効果的」だと指摘する。
「毛様体筋が緊張した状態が続くと眼精疲労が進行し、近くが見えるけど遠くがぼやける『仮性近視』を発症します。これが悪化すると『真性近視』になります。仮性近視の段階で目の周りのツボを押すことで毛様体筋の緊張が和らいでピント調節機能が回復し、症状が大きく改善する可能性があります」