ライフ

腸内の善玉菌が非常に多い日本人 「米中心の日本食」を守り続けた結果か

(写真/GettyImages)

米食は日本人の体質に合っているという(写真/GettyImages)

 日本人が米を食べなくなっている。1962年の1人当たりの米の消費量は、年118.3kgだったが、いまではその半分以下だ。だが、日本人の体は、米を食べてこそ動くようにできているという──。

 8月18日、驚くべき研究結果が発表された。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所などによって、腸内細菌の一種「ブラウティア菌」に、肥満や糖尿病を予防・改善する可能性があることがわかったのだ。ブラウティア菌はアジア人、特に日本人の腸内で比較的多くみられる菌だ。

『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』などの著書がある内科医の奥田昌子さんによれば、日本人の腸内細菌は、その半分近くが日本人特有のものだという。

「ほかの国の人と比べると、日本人の腸には、ブラウティア菌やビフィズス菌をはじめ、善玉菌が非常に多い。これらの働きにより、日本人は穀物の炭水化物やアミノ酸をムダなく利用できる体質を持っているのです」(奥田さん・以下同)

 つまり、炭水化物を効率よくエネルギーにできる日本人は米を食べても太りにくい民族なのだ。ということは、日本人には、糖質制限ダイエットは必要ないかもしれない。

「悪玉菌が多いと、穀物を腸内で充分に分解できず、体の組織や細胞を傷つける有害物質がつくられます。しかし、善玉菌が多い日本人の腸では、有害物質はほとんどつくられない。これは、日本人の米中心の食文化により、効率よく米をエネルギーに変えられる腸内細菌を持つ人が生き残り、そうした遺伝子を受け継いできたのではないかと考えられます」

 一方、同じく米中心の食文化であっても、中国人の腸では、日本人のように効率よく穀物を分解することができないという。これは、中国の食習慣は日本よりも脂質が多いため。中国人の腸内細菌はなんと、アメリカ人に近いという。

 2021年の東京大学ほか国際研究チームの発表によると、日本人の腸内細菌は、スウェーデン人や、フランス人、オーストリア人と近い。その中でも、日本人は炭水化物のほか、ビタミンやミネラル、アミノ酸の代謝に優れた腸内細菌を持っていることがわかった。

「明治以降、日本人の食事は急速に欧米化しました。しかし、ステーキを食べるときもご飯を主食にしたり、ご飯に合うように照り焼きにしたりと、肉やパンばかりではなく、米を食べ続けてきました。食生活のすべてが欧米化されずに、米中心の日本食の様式を守り続けたことが、結果的に日本人の腸内細菌をいい状態で保つことにつながったのです」

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン