中国政府が2008年12月に台湾当局に贈ったつがいのジャイアントパンダのうち、オスの「団団(トゥアントゥアン)」が「てんかん」を患っていることが分かった。台湾の台北動物園関係者が中国四川省の臥竜国立自然保護区のパンダセンターの専門家と連絡をとった結果、中国から専門家を派遣することで合意したことが明らかになった。
中国は台湾の蔡英文総統を中心とする民主進歩党(民進党)の独立姿勢を批判し、8月には大規模軍事演習を実施するなど中台関係は緊迫しているが、「パンダには何の罪のない」ということで、専門家派遣を決定しており、「中台パンダ平和外交」が展開されることになりそうだ。台湾の中央通信社が報じた。
2008年に中国から台湾に贈られたのは団団と、メスの「円円(ユアンユアン)」で、台湾ではその年の5月、国民党の馬英九主席が台湾総統に就任し、対中関係重視の方針を打ち出した。これに応えて、当時の中国の胡錦濤国家主席が中国から台北に2頭を贈っていた。
円円は2013年と2020年に子供を出産しており、いまも台北動物園で元気に過ごしている。
中台双方のパンダ専門家は2008年当時からこれまで、連絡を取り合っており、長年にわたって、これら4頭のジャイアントパンダの状態についてビデオ会議などを通じて意見交換を継続していた。
台湾側は今年8月中旬、団団の様子がおかしく、食欲がないことに気づき、監視カメラの映像を確認したところ、8月23日に3分間の発作が起きていたことを知り、中国側とオンラインで連絡し、医学的アドバイスを受けたという。
団団は人間の年齢に換算すると60歳近いことから、病状が悪化すると命にかかわる危険もあるため、台湾側は「団団の命を守るため、中国大陸の専門家からのいかなる援助も歓迎する」とのメッセージを伝えた。これに対して、中国側は専門家の獣医師派遣を快諾したという。
これについて、台湾メディアは「中国のパンダ外交の延長線上で、中国側は『一つの中国』をアピールするとの政治的な狙いもあるのではないか」と報じている。