芸能

高田文夫氏 2人の怪優、阿部サダヲと香川照之が主演する異色映画2本について

阿部サダヲと香川照之の映画について高田文夫氏が語る(イラスト/佐野文二郎)

阿部サダヲと香川照之の映画について高田文夫氏が語る(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、阿部サダヲと香川照之、怪優が主演する異色映画についてつづる。

 * * *
 長万部の水柱が収まったのに私はバタバタ。そんな中、好きな男連中に会えるのは嬉しい。呑み友達だった西村賢太を亡くし、突然相方には立候補されるしで、さぞかし心は“東京砂漠”だろうと思い浅草キッドの玉ちゃんこと玉袋筋太郎と久々。「玉」にとって私は芸界での「棹」のようなもの。ン? 元気そうで、嬉しそうで「実は私、孫ができまして」と玉の息子(玉の息子ってのもややこしいが)から預かったという手紙と孫の写真。そう言えばこの息子の結婚式、私が一番偉い人として列席、スピーチしたっけ。芸界ももう二代目から三代目の時代なのだ。玉も孫さえいりゃ大丈夫だ。

 別の日、今やすっかり主演男優の肩書きで飯を喰っている阿部サダヲがニヤニヤして来る。みんな私の弟子のような世代である。この男も野球ばかりやっていて大型電機店に就職をしたのだが、さぼっていつも真昼間私のラジオを聴いていた。同じ頃、宮藤官九郎も私になりたくて日芸へ行ったがなじめず、昼間私のラジオだけを聴いていた。阿部はラジオからきこえる私の言葉で「寄席とか劇団とかがあるのを初めて知りまして……」と“大人計画”へ行ったら、同い歳のクドカンが同じタイミングで松尾スズキのところへ来ていた。

 玉も阿部もクドカンも、皆な才能ある私のチルドレン。阿部が言いたかったのは「『アイ・アムまきもと』という映画が公開されますので、よかったら宣伝みたいなことを」と甘えてくる。本当に私のような男でも心がホッとする作品になってます。殺伐としたこの時こそ、この一本。

 映画といえばこれも。最近テレビでは香川照之の姿を見ないが多分公開されるだろうと言うので試写会へ行き『宮松と山下』を見る。いい。この映画から、もう一度、人生、役者をやり直せばいい。

 香川演じる主人公は端役専門のエキストラ俳優。来る日も来る日も斬られ撃たれ瞬時に消えてゆく。実は記憶喪失の男なのだ。香川もすべてを忘れエキストラから役者人生を歩み出せばいい。なにしろ上手い。

 ライブは9月25日、水森かおりの中野サンプラザ、ラストコンサート。水森はサンプラザの人に問いつめた。「昭和48年に出来たサンプラザ、私もその年に生まれたんです。何で壊すんですか」にひと言「老朽化です」アハハ。紅白連続出場歌手も老朽化。

 9月28日は遂に親孝行が実現した「神田松鯉(人間国宝)と伯山親子会」IN歌舞伎座。尽力した伯山に対し何より嬉しそうだった傘寿の松鯉。美しき師弟愛。

※週刊ポスト2022年10月21日号

関連記事

トピックス

広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
《事故前にも奇行》広末涼子容疑者、同乗した“自称マネージャー”が運転しなかった謎…奈良からおよそ約450キロの道のり「撮影の帰り道だった可能性」
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン
広末は再婚へと向かうのか
「これからもずっと応援していく」逮捕された広末涼子の叔父が明かす本当の素顔、近隣住人が目撃したシンママ子育て奮闘姿
坂本勇人(左)を阿部慎之助監督は今後どう起用していくのか
《年俸5億円の代打要員・守備固めはいらない…》巨人・坂本勇人「不調の原因」はどこにあるのか 阿部監督に迫られる「坂本を使わない」の決断
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者(44)が現行犯逮捕された
「『キャー!!』って尋常じゃない声が断続的に続いて…」事故直前、サービスエリアに響いた謎の奇声 “不思議な行動”が次々と発覚、薬物検査も実施へ 【広末涼子逮捕】
NEWSポストセブン
「居酒屋で女将をしている。来てください」と明かした尾野真千子
居酒屋勤務を告白の尾野真千子、「女優」と「女将」の“二足のわらじ” 実際に店を訪れた人が語る“働きぶり”、常連客とお酒を飲むことも
週刊ポスト
再再婚が噂される鳥羽氏(右)
《芸能活動自粛の広末涼子》鳥羽周作シェフが水面下で進めていた「新たな生活」 1月に運営会社の代表取締役に復帰も…事故に無言つらぬく現在
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン