新たなNHK朝ドラがスタートした。現在放送中の第2週は、長崎県の五島列島を主な舞台に、主人公の子供時代が描かれている。両親役の永作博美と高橋克典をはじめ多彩なキャストが出演するなか、ドラマオタクのエッセイスト小林久乃氏は、ひとり五島に暮らす祖母を演じる高畑淳子(68)に注目。その魅力について綴る。
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朝ドラ『舞いあがれ!』が始まった。第3週以降はヒロイン・福原遥をはじめとする、横山裕(関ジャニ∞)、赤楚衛二、目黒蓮(Snow Man)らも続々と顔を見せる。
現在、子役らが活躍をする第2週「ばらもん凧、あがれ!」が放送中。もちろん朝ドラらしい、煌びやかな面々が登場している。その中でも誰もが目で追ってしまうであろう存在感を放っているのは、女優の高畑淳子さん。言わずもがな、ではあるが、この人の演技はドラマ全体をキュッと引き締める。今、祖母役として出演しているうちに皆さんにも注目をしてほしい。
豪放磊落な田舎のおばあちゃん
まずは『舞いあがれ!』の簡単なあらすじを紹介したい。
岩倉舞(福原遥/浅田芭路)は、東大阪市に生まれ、小学校低学年まで育つ。熱を出しやすい体質で、学校も休みがちだが、病院に通っても原因は不明。心配した父・浩太(高橋克典)が、母・めぐみ(永作博美)の実家、長崎県の五島列島で生活することを提案。母娘で向かったのは、舞が初めて会う祖母・才津祥子(高畑淳子)のもと。祥子はつい過保護になっているめぐみ、それに伴う舞のストレスに気づき、めぐみを大阪に戻す。祖母と孫、ふたりきりの田舎生活が始まった──。
高畑さんが演じているのは、ヒロイン・岩倉舞の祖母。これから成長して、飛行機に憧れていく孫を見守っていく。いや〜……第1週からとんでもなく、良かった。何がかと言えば祥子の存在だ。ずっと母娘の間にあった“原因不明の体調不良”。ふたりの距離感を狂わせて、極度の心配性になっていたことをつぶさに察知をして、ふたりを敢えて離した。
「めぐみ、帰ってくれんね。帰らんね。(中略)舞は預かるけん。あんたが舞を心配しすぎてる」
それを受け入れためぐみも、どこかで誰かにそう言って欲しかったのだろうと思う。舞もまた同じ気持ちでいた。こんな愛情あふれる祖母を、高畑さんは演じている。
見た目は完全に五島列島の住人。長靴を履いて、大股で歩く。船も軽自動車も軽やかに運転して、畑仕事にも精を出している。まさに豪放磊落といった、田舎のおばあちゃん。近所の住民とのコミュニティーも良好、余りそうになった収穫物を使ってジャムを作って、販売。地方の過疎化が叫ばれている中、まるでお手本のように元気に暮らしている。