日本一のコント師を決めるべく激戦が繰り広げられる大会『キングオブコント2022』。昨年の“空気を塗り替え登った階段”からの頂はどんな景色なのか──。歴代最高得点で王者に輝いたビスケットブラザーズに、本番3日前、そして本番後の緊急インタビューに成功した。
決勝のネタはムキムキに仕上げた2本
優勝を決めた翌日の午後、ビスケットブラザーズのきん(31才)と原田泰雅(30才)が素直な胸の内を明かしてくれた。
きん「やりました! 今日は朝から『サンデージャポン』と『アッコにおまかせ!』(ともにTBS系)に出演させてもらいましたけど、まだ夢みたいでフワフワしています」
原田「去年は“何も起こらないネタ”で準々決勝敗退だったので、今年は“何かが起こるネタ”に懸けたんです。しかも、普段ならいろんなネタを試す期間をこの2本に絞ってムキムキに仕上げたので、優勝せんかったらまずいくらいでした。ただ、本番中に優勝を確信するような瞬間はなかったですけど」
きん「出てるみんなめっちゃウケてたからな。世間的には『コットンが優勝や』と言われるくらいやし」
原田「ほんまやったら俺ら、いまがいちばんちやほやされる時期やのにな! ヒール(悪役)なんやなぁ、俺らは」
きん「俺らを責めるんだけはやめてほしいよな。俺らは審査を待っていた側だから。本番が終わってからはバタバタしていて審査員のかたたちとお話できなかったから、近いうちに直接お話ししたいですね。『褒めてもらっていいですか?』って」
若手の頃は“面白い”をリュックいっぱいに詰め込んでいた
大阪NSCで出会い、2011年にコンビを結成した2人。当初からコントに主軸を置いて活動してきた。
原田「ぼく、子供の頃から目立てる場所が文化祭の演劇くらいで、高校も芸能文化に特化した高校に入ったくらいなんです。その高校の生徒は元子役や劇団出身者ばかりだったから、ぼくの芝居は鼻で笑われたけど…お芝居をしたいという気持ちは消えなかった。だから、コントという形での芝居にも興味が湧いたんです」
きん「ぼくは漫才がしたくてNSCに入ったので、コントをやるなんて発想すらありませんでした。でも原田が『コントが好き』と言っていたので、そんならと」
いまでこそ数々の賞レースで結果を残しているが、初期は何度も挫折を味わったという。大阪の劇場でネタを披露しても評価されない“停滞期”がしばらく続いた。
原田「このままではいけないと劇場のコーナー(ゲームや大喜利などの企画)で目立つ工夫をして、なんとか出番が増えてきたんですけど、肝心のネタはお客さんにウケない。ネタの面白さで競うネタバトルでは、ずっと負けていました。そんなとき、ある作家さんに『きみら、おもろいだけやねん。それじゃあ売れへんよ』と言われたんですよ」
きん「あぁ……そんなこともあったなぁ」