大晦日恒例の『NHK紅白歌合戦』の司会者が大泉洋、橋本環奈、桑子真帆アナウンサーの3人に決定。3年連続となる大泉、通算4回目となる桑子アナの起用は順当だが、橋本が抜擢されたことには驚きの声が上がった。
「紅白は例年、視聴率が40%にも達する国民的番組。その司会者はいわば“その年の顔”で、芸能人にとって最大級の栄誉ですが、ただ人気と知名度が高ければ選ばれるわけではありません。過去の例に照らし合わせれば、重視されるのはNHKへの貢献度。大河や朝ドラに出演し、なおかつその作品が話題になった人が選ばれることが多く、NHKとの関係が薄い上に司会の経験も無い橋本が選ばれたのは完全にサプライズでした」(芸能記者)
昨年の紅白は2部制となった1989年以降、歴代最低視聴率を記録(前半31.5%、後半34.3%。ビデオリサーチ調べ、関東地区)。内部では打ち切りも視野に入れた議論が起きているという報道もあった。NHKの前田晃伸会長は、それを否定したが、これまでの慣例を破っての起用は明らかに視聴率を意識してのこと。橋本にかかる期待は大きい。
「関係者の間では、今年の紅組の司会は『ちむどんどん』のヒロインの黒島結菜で決まりだと言われていました。2022年は沖縄本土復帰50年にあたり、沖縄が舞台の同作は特別な作品。黒島も沖縄出身で、“当確”との声さえあった。しかし『ちむどんどん』のストーリーが迷走したことで、朝ドラ史上でも例がないほど視聴者から不満の声が上がった。それでも黒島を起用すれば、視聴者にそっぽを向かれるリスクがあった。そこで白羽の矢が立ったのが橋本です。
橋本は各種アンケートでのきなみ好感度が高く、若者はもちろん中高年層にも幅広く支持されている。あえてNHKのイメージが強くない橋本を起用することで、紅白に新鮮な風も呼び込める。NHKにとっては視聴率UPはもちろんのこと、若者の関心をテレビに呼び戻すことも大きなテーマで、それにピッタリだったのが橋本だったということです」(同上)
あらゆる層が喜ぶラインナップは至難の業
ただ、橋本ひとりの力で視聴率が上がるほど、テレビの世界は甘くない。合格ラインとして1つの目安となるのは歴代最低だった昨年の視聴率だが、それをも下回る可能性は十分にある。
「橋本の司会抜擢が話題になっていますが、紅白のメインはあくまでも歌手。近年、視聴率が下がっているのは、見たい歌手がいないということでしょう。今年は中森明菜、松任谷由実、矢沢永吉、SPEEDといったビッグネームの出場が取り沙汰されていますが、若者にとっては『誰?』といった感じ。一方で若者に焦点を合わせれば、中高年が知らない歌手だらけでポカーンとなるのは確実で、このギャップを埋めるのは至難の業です。
そもそも、紅白をハナから無視するアーティストも少なくありません。紅白は拘束時間が長く、ギャラは雀の涙。紅白に出れば売れるという時代でもなく、1度しか出場できなければ“一発屋”と見られかねない。ベタな演出に参加されられれば、イメージが崩れる可能性もある。紅白に出ないことが1つのステータスになっている感さえあります。
企画のマンネリ感も目に付きます。朝ドラのミニコーナーや、若者人気をあてこんだアニメ・漫画などの企画モノは、ファン以外の人にとっては退屈なだけ。あらゆる層にアピールしようとして空回りしているような印象はあります」(キー局関係者)