国際情報

中国軍の軍用機エンジンに弱点 耐用時間短く財政や乗員にも大きな負担

中国航空産業の急所?

中国航空産業の急所?

 中国人民解放軍の軍用機のエンジン性能は米軍などの最先端水準から比べて、少なくとも1世代、約20~25年遅れていることが明らかになった。中国機のエンジンの耐用時間が米軍機の8分の1しかないという。米軍のF119エンジンの耐用時間は1万2000時間だが、中国の戦闘機に搭載されているターボファン10エンジンの耐用時間は1500時間に過ぎない。

 まさに、このエンジンの問題は中国航空産業の急所となっており、中国空軍が台湾海峡上に多数のドローンを飛ばしている理由だという。台湾の通信社、中央社などが報じた。

 中国はロシアより遅れて1980年代にエンジンの国産化を開始し、ロシアのAL-31エンジンに比べ、中国国産のターボファン10の耐用時間はロシア製の1.5倍となる1500時間であるものの、耐用時間は8000時間以上の台湾空軍の主力戦闘機F16のエンジンと比べると、はるかに劣っている。

 中国人民解放軍は約1200機の新鋭戦闘機を保有しているが、エンジンの耐用時間が短く、1機の飛行時間も限られることから、多数の戦闘機を保有しなければならない計算になるという。

 中国軍は毎年、日本の防空識別圏に約800回、台湾には約900回、さらに米軍の偵察機を警戒するために1000回近く出撃しており、中国空軍は財政的にも大きな負担を強いられていることになる。

 中国は台湾海峡だけでなく、東シナ海、南シナ海やインドなどでも航空的な優勢を確立しようとしているが、仮に大規模な戦闘が複数地域で起こった場合、戦闘機の供給が間に合わず、逆に中国の航空的優位が失われる可能性もある。

 さらに、戦闘機の操縦士や乗員も限られている中で、これだけ頻繁に出動することで、エンジンのオーバーユースだけでなく、戦闘員の疲労も激しくなる。

 今年3月、海南島で中国空軍の対潜哨戒機が墜落し、乗員全員が死亡した事故が発生したが、これについて台湾の軍事専門家らは、中国の空軍機のエンジンのトラブルと乗員の過労が重なったためと分析している。中国人民解放軍の過度の軍事訓練は、軍用機のエンジンの耐用時間が短く生産量も限られていることや、戦闘員の数にも限りがあるという制約から、中国空軍の戦闘能力を著しく低下させており、その結果、事故も多発していると指摘している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『激レアさんを連れてきた。』に出演するオードリー・若林正恭と弘中綾香アナウンサー
「絶対にネタ切れしない」「地上波に流せない人もいる」『激レアさんを連れてきた。』演出・舟橋政宏が明かす「番組を面白くする“唯一の心構え”」【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
【改正風営法、施行へ】ホストクラブ、キャバクラなどナイトビジネス経営者に衝撃 新宿に拠点を持つ「歌舞伎町弁護士」が「風俗営業」のポイントを解説
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン