年間4.3万人に見つかり、3.7万人が命を落とすという「すい臓がん」。その5年相対生存率は8.5%と非常に低い。きくち総合診療クリニック理事長の菊池大和さんが説明する。
「すい臓は異変があっても自覚症状がほとんどないだけでなく、胃の後ろ側に位置していて周囲に血管やリンパが集中しているため、腫瘍ができても検査で見つかりにくい。それゆえに発見されたときには、全身に転移していることが多く、5人に4人は積極的な治療が難しい。
とはいえ、まったく兆候がないわけではない。サインは37℃台の微熱や倦怠感を伴う胃痛や腹痛、背中の痛みです。
発熱の原因は体内にがん腫瘍などの異物があると放出される『サイトカイン』という物質にあります。すい臓に限らず、50才を過ぎてからの頻繁な発熱は、がんを疑わなければなりません。違和感を覚えたら一度病院へ行ってください」(菊池さん)
兆候をキャッチしづらい“死の病”を遠ざける方法はあるのか。
「すい臓がんのリスク因子はアルコール、たばこ、肥満。加えて、男性の方がかかりやすいとされています。当てはまる項目が多いほど可能性は高くなるため、アルコールとたばこを控えることはすい臓を守るためには必須です」(菊池さん)
特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長で医師の上昌広さんは「遺伝の影響も大きい」と指摘する。
「特にすい臓がんになった家族がいる場合は、リスクが1.6~3.4倍になるとされます。半年に1回は腹部の超音波検査を受けた方がいいでしょう。血液検査だけですい臓の異常を見つけることは非常に難しいです」(上さん)
長生き腎臓のために「リン」を減らす
「新型コロナの影響で海外駐在が長引いていた夫が3年ぶりに帰ってきて喜んだのもつかの間、久しぶりに日本で人間ドックを受けたら、腎臓の機能が悪化していることが発覚しました」
会社員の山内麻衣子さん(53才・仮名)の夫は今夏、「慢性腎臓病」と診断された。
「見た目はまったく変わっておらず、そういえば海外生活で少し太ったかな?と思ったくらい。いま考えたら腎臓が悪くなった影響でむくんでいたのだと思います」(山内さん)