年を重ねていくなかで、エイジングケアに特化した肌ケア商品を試し、ツヤを出し血色がよく見えるメイクをして、少しでも美しくいたいと思うのが女心というもの。それなのに、なぜかやってもやっても、むしろやればやるほど老けて見える気がするのはどうしてなのか……。
その原因は髪の毛と髪形にありました。メイクができて、マスクで隠れてしまう顔より、印象を一目で決めるのは髪! オーバー50の見た目UPに超重要な髪の新常識を知って、いますぐ素敵に若見えさせましょう。
髪の変化と扱いづらさに戸惑い絶望するのが50代
「50代に入ると髪の悩みが一気に増えます。私もそうでした。自分の印象が以前と随分変わってしまったことに驚き、解決法が分からず困る人が多いのがこの世代です」
そう話すのは、美容誌『美的GRAND』(小学館)創刊編集長を務めた美容ジャーナリストの天野佳代子さん。
「読者の方々にお悩みを聞くと、皆さん第一声で『髪が……』とおっしゃいます。肌のシワやたるみは、実は二の次なんです。髪は顔の額縁のようなものですから、一目見られた時の印象を決めるのは確実に髪だと思います」。
毛髪診断士の余慶尚美さんも、「髪形や髪質は、その人の第一印象の7〜8割を占めるほど強いもの」と話す。
「そのことは、皆さん若い頃からの経験によって実感していると思います。今日は髪形がうまくキマらないから出かけたくない、と思ったことは誰にでもあるはずです。だからこそ、髪を美しく保てば、見た目の印象で若々しく見せることができるということです」
50代を迎えて実感する髪の4大悩みは、「白髪、うねり、薄毛、ツヤがなくなること」と天野さん。
「白髪を気にして白髪染めをするとマットに染まってしまい、ますますツヤがなくなります。うねってチリチリに生えてくる白髪は扱いづらく、髪のまとまりも損ないます」(天野さん)
女性の体は50才前後で大きく変化するが、髪の毛の老化もその頃に始まるという。
「女性ホルモンの働きが弱まるせいで、更年期障害など体への影響が出てきますが、ヘアサイクル(毛周期)の乱れもそのひとつ。まず髪の成長期の期間が短くなり、細く立ち上がりの悪い毛が生えてきます。また頭皮が加齢でたるみ、毛穴が真円から楕円形になることで、うねってクセのついた毛が生えるように。毛髪自体に栄養が行き渡らずスカスカの毛が生えるのも、うねりの原因です」(余慶さん)。
うねりや細く縮まった髪の毛のせいで、どことなく弱々しい印象になり、さらに毛量が減少し白髪が増えることで一気に老けた印象になってしまうそう。それをケアしようとしても、不自然に染まった黒髪や、うねりを隠そうとしたロングヘアはかえって逆効果に。
2人が口を揃えて大切だと訴えるのが、髪の毛のツヤと頭皮ケア。天野さんは、「私は頭皮美容液を使い、頭皮の血行をよくすることを最優先にしています。ブラシやマッサージ機器も愛用中」。余慶さんも「頭皮からも経皮吸収はしっかりされるので、お顔と同じで頭皮にも美容液を使って栄養を与えることはとても重要です」と話す。
50代の髪悩みに対応するヘアケアトレンドはトリートメントが主流。
「カラートリートメント市場が盛り上がりを見せています。自分の家で、髪を傷めることなく手軽に染められるもの。これを使えば、美容室でカラーする頻度を落とすことができますよ」(天野さん)
「近年は白髪やうねりを“隠す”よりも“ぼかして生かす”のがトレンドです。白髪染めではなくおしゃれカラーで明るい髪色にすることで白髪をぼかす手法が流行中。私もそうしています。アンチエイジング一辺倒ではなく、“年をとることは悪いことじゃない、年相応のおしゃれを楽しもう”という欧米式の考え方が、日本にも徐々に広まってきています」(余慶さん)
知れば「髪の毛偏差値」がアップ! 髪の毛&ヘアケア新常識
【1】サロン出費は美への投資! 自宅ケアだけで済ませず、美容室へ行きましょう
「カラーリングは美容室で行いましょう。併せてトリートメントなどアフターケアもぜひ受けて。ホームカラー製品は薬剤の力が非常に強く、ダメージや色ムラのもとです」(天野さん、以下同)
【2】流行のグレーヘア 素敵だけど、できるのはお手入れの達人限定
「白髪を染めずにラクに過ごせると思いきや、むしろ逆です。扱いづらい白髪を美しく清潔に見せるには、相当な日々のお手入れが必要。染めるほうが断然ラクです」
【3】入浴後即ドライヤーはNG タオルドライで “ふわっ” “ゆさっ”
入浴後のタオルドライは、ドライヤー時間短縮の意味でも重要。
「スポーツタオルと髪専用のドライタオルを使用。タオルを押し当てず髪にふわっと当て、タオルの中で髪を揺らして水滴を飛ばします」。
【4】行きつけを見つけて 美容院は同じお店に通うのがベター
「髪にはカラー剤やパーマ剤による“ダメージ履歴”が残ります。美容院をコロコロ変えて色々な薬剤の履歴が髪に蓄積すればするほど、傷みの原因に。ココと決めたお店で、同じ薬剤で施術してもらって」
【プロフィール】
美容ジャーナリスト・天野佳代子さん/『美的GRAND』創刊編集長、同誌エグゼクティブビューティディレクター。その美肌が“奇跡の65才”(当時)とTVで話題に。
美容家・毛髪診断士・余慶尚美さん/プロデュースするヘアケア商品「YAETSUBAKI mamuin」がうねりケアによいと大人気。著書に『髪トレ』(主婦の友社)など。
取材・文/篠田冴 イラスト/久保田ミホ
※女性セブン2022年11月3日号