政府は安倍晋三・元首相の国葬費用が「約12億4000万円」(速報値)と発表した。当初の見積もりだった概算16億6000万円から4億円以上削減されており、岸田文雄・首相は、「今後、大幅に増えることはない」と胸を張った。
費用が少なければ批判がなくなるわけではないが、そもそもこの金額は本当なのか。本誌・週刊ポストの調査では、国葬に使われた税金は公表された額を大幅に上回る疑いが強く、実際には2倍の金額になっているという指摘まである。
警備費にはどこまでが含まれているのか
今回の政府の発表の内訳は、「式典費2億4000万円」「警備費4億8000万円」「海外要人接遇費5億1000万円」「自衛隊儀仗費1000万円」とされている。
大きく減ったのが警備費だ。事前の見積もりの約8億円から約3億2000万円も減っている。
国葬警備には警視庁が約1万7500人を動員し、各地の警察から約2500人の応援を受けて各国大使館周辺の警備増強や一般の弔問者らの警備などにあたると警察庁は説明していた。そうした警備計画が縮小されたわけではない。
ではなぜ、警備費が大きく減ったのか。一部報道では、政府関係者が「警備にあたる警察官については地方から出張で東京に来る人数を減らし、警視庁の警察官を中心に警備にあたったことで予算の削減につながった」と明かしている。
改めて警備費の詳細な内訳について警察庁に問うと、金額は「9月27日の故安倍晋三国葬儀に伴う警備に要した経費の速報値」としたうえでこう回答した。
「警視庁を含む警察官の超過勤務手当等2.6億円、車両等の装備資機材や待機所の借上げ等の装備費2.2億円です」(広報室)
しかし、「発表された額は実際に警備にかかった費用の一部に過ぎないと考えられる」と指摘するのは、警察庁警備局勤務などの経験を持つ作家・濱嘉之氏だ。
「警察庁が速報値として出した数字は、国葬当日の超過勤務費などほんの一部でしょう。実際には警視庁の警察官は国葬当日に向けてもっと前から警備をしていました。これでは全容を説明しているとは到底言えず、実態とかけ離れた金額になっている疑念がある」
発表された数字以上の“隠れ費用”があったとみる指摘だ。