「引退ということではないということですよね? 歌はやめない?」と司会者に聞かれると、まっすぐ前を向きこう答えた。
「だってやることがないですから。歌を書いていないと。引退することもないし、必要もない。引退する必要があればするけど、そういう状況ではないから、歌は続けていきます」
10月9日のホテルニューオータニ大阪でのディナーショーのトークコーナー。年内限りで活動休止に入ると宣言していた歌手の氷川きよし(45才)は、優しいほほ笑みを携えながら、きっぱりと表明した。
これには、満席に埋まったテーブル席のファンたちも一様に安堵した。ある60代女性ファンは「Kiina(キイナ)様はちょっとお休みするだけと信じていましたが、はっきり目の前で言ってくれたことは、すごくうれしかったです。まだまだ一生、応援していきます」とうれしそうに話した。
このディナーショーの直前には、『週刊文春』が氷川の所属事務所社長による、事務所幹部への暴行事件を報道。その幹部らを始め約10人ものスタッフが退社する内情や、氷川の独立説まで明らかにされた。実際に、同事務所は今月に会社が移転して、オフィススペースを縮小。周囲が騒がしくなる中での出演だったが、氷川はその話題には触れず、自身の引退説を払拭した形となった。
今年1月に「なかなか心と体が思うようにならなくなり、ご期待にお応えできないこともあり、リフレッシュのため」と1年後からの活動休止について説明していたが、あるコンサート制作関係者は「『昔は朝起きたら氷川きよしになるのかと思うと眠れなかったけれど、40代になってからはよく眠れるようになった』と話しています。メンタル面は外からは分かりませんが、生活は忙しい中でもリズム良く過ごせているようです」と話した。
デビュー20周年を迎える2019年の年末に「世間が求める氷川きよし=演歌の王道、男らしく生きてほしいって言われると、自殺したくなっちゃうほど辛かった」と本音を明かしてからは、衣装も髪型もメイクも大胆にイメージチェンジ。見た目にはジェンダーレスな美しさを追求して、楽曲では激しいロックミュージックなど、より多彩な表現をするように進化してきた。呼び名も、自ら「Kii(キー)」「Kiina」と名乗るようになり、発信するメッセージも大きく変わってきた。
ある芸能関係者は「今回の活動休止も、数年前からの大胆なイメチェンが無事に成功して、ファンも応援し続けてくれたことを確認できたことで、ホッと一息つきたくなったんだと思っています。一休みした後に活動再開する際には、さらにパワーアップするはずでしょう」と予想する。