「医者が言うから」「数値が悪いから」と、あなたがこれまで信じてきた健康法を、東大出身の精神科医が真っ向から否定。“80歳の壁”を乗り越えて元気でいるためにはまず、医者や病院を疑うことだ。健康長寿を手に入れるには、体を動かすことと休めることの両方が求められる。だが過度な運動は禁物だ。精神科医で老年医学の専門家の和田秀樹さん(62才)が言う。
「運動をやらないことも問題ですが、やりすぎてしまうことも避けるべき。過度な運動は、体内で活性酸素をつくりすぎ、体を酸化させます。スポーツはメタボ対策になり、体にいいといわれてきましたが、60代以上の激しい運動は老化を促進してしまうのです」
和田さんがすすめるのは「屋外の穏やかな散歩」だ。
「60才以降に習慣にしてもらいたいのは屋外の散歩です。歩くことは足の老化予防だけでなく、心臓のポンプ機能も強化し、脳や体の隅々の細胞に充分な量の血液を送ることにつながります。
また、屋外で日光を浴びると、『幸せホルモン』と呼ばれる神経伝達物質のセロトニンが分泌され、心身が安定します。なお歩数は『1日1万歩が目標』との声を聞きますが、高齢者がそこまでがんばる必要はない。1日30分、最低3000歩をめざしてほしい」
疲れた体に休息を与え、さまざまな機能をリセットする睡眠も健康には重要とされるが、和田さんは「無理して眠る必要はない」と指摘する。
「高齢になるほど深い睡眠が減って熟睡できなくなります。しかし、そもそも不眠で死ぬことはなく、体を横たえていたら本人は寝てないと思っても入眠しているもの。夜眠れなければ昼寝をすればよく、高齢者には“眠くなったら寝る”というスタイルが適しています」
百害あって一利なしといわれる喫煙にも和田さんは寛容だ。