まもなく寒い冬がやって来る。お湯につかって一息つくのが心地いい時期でもあるが、入浴に関する間違った健康常識があふれているという。20〜30分の半身浴が健康にも美容にもいいと喧伝されてきたが、東京都市大学教授で温泉療法専門医の早坂信哉さんは、40℃で10分間、肩までつかるのが最適だと話す。
「入浴の大きな目的は、就寝前に副交感神経を優位にしてリラックス効果を得ること。そのためには40℃がベストです。41℃になると交感神経が優位になり始め、42℃になれば完全に交感神経が優位になり、体が目覚めて寝付けなくなる。
反対に38℃以下だとぬるすぎて、温熱作用が充分に得られません。お風呂で体温を0.5℃ほど上げることで血流がよくなります。肩までしっかりつかって、額に汗が浮かぶくらいまで温まるといいでしょう。ただし、心臓が悪い人は無理して肩までつからないでください」
これからの時期は浴室をあらかじめシャワーで温めておくなど、ヒートショック対策も必須だ。
入浴剤はさまざまな種類が売られているが、すべてに効果があるわけではない。
「入浴剤は雑貨扱いのものも多い。香りや見た目によるリラックス目的で使うならいいですが、それ以上の効果はありません。健康目的で選ぶなら『医薬部外品』の表記があるものがいいでしょう。『疲労回復』『血行促進』など効果・効能があるものが配合されています。『浴用化粧料』と書いてあるものも、肌にうるおいを与えるなどの効き目が期待できます」(早坂さん)
心も体も整うと人気のサウナや、デトックス効果抜群とうたわれる岩盤浴だが、秋津医院院長の秋津壽男さんは、どちらも効果なしと一刀両断だ。
「そもそも汗をかくことがデトックス効果につながるという考え方が大きな間違いです。汗でしか排出できない毒素は存在しないし、体に不要なものは尿や便からも外に出ていく仕組みです。毒素を大量に体外に排出できるとしたら、覚醒剤摂取者の毛根にその成分が染み出し、検出されるように髪の毛を通して体外に出るケースくらいです。だから無理をして汗をかくことに何の意味もないのです」
※女性セブン2022年11月10・17日号