いよいよ歌舞伎界を代表する大名跡を継ぐこととなった十一代目市川海老蔵。11月には十三代目市川團十郎白猿がお披露目となる。そこで、海老蔵と一緒に舞台に立つ市川九團次さん(50才)と大谷廣松さん(29才)が襲名にまつわるとっておきトークを披露する。
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九團次「いよいよ襲名公演が迫ってきましたね」
廣松「海老蔵丈が襲名を発表してから2年半、この日を迎えられて一門一同喜ばしい限りです」
九團次「タイトなスケジュールでセリフを覚える時間もないはずなのに稽古が始まるともう完璧としか言いようのない完成度で、本当に努力の人」
廣松「意外と知られていないようですが、歌舞伎は直前にならないと合わせの稽古はないから、10月中旬のいまでも襲名公演の合わせ稽古も実はまだ。でもきっと海老蔵丈はいつもどおりに完璧に合わせ稽古の日を迎えそうです」
九團次「誰よりも稽古熱心で、自分に厳しいので、われわれ弟子にはもちろん勸玄くんにもきっちり指導しているよね」
廣松「“家族だから、息子だから”というのは一切なく、成田屋一門のひとりとして稽古中は細かな指導をしています」
九團次「勸玄くんは心の底から歌舞伎が好きで、お父さんを見て『あれもやってみたい』『これもやってみたい』という気持ちが強い。舞台に立って人を惹きつけるスター性は持って生まれた才能で、歌舞伎役者になるために生まれてきたと言っても過言ではない。稽古中にうまくできずに悔し涙を流すこともあるけれど、それも歌舞伎が好きだからこそ」
廣松「小さな頃は泣き虫でしたね(笑い)。稽古中だけではなく、ゲームで負けてもよく泣いていた」
九團次「麗禾ちゃんや勸玄くんが小さな頃はよく一緒に公園で遊んでいましたが、とても仲のいい姉弟、親子でね。それでも稽古中は海老蔵丈が師匠として丁寧に指導をしています」
廣松「海老蔵丈はテレビやブログで見せている姿とまったく同じで裏表のない正直な人で、弟子思い、一門思い。成田屋一門はとても雰囲気がいいと感じますが、それはやはり海老蔵丈の存在があってこそだと思います」