コロナ禍で自宅勤務が増え、運動不足が気になっている人が多いだろうが、「運動しなくても立ち仕事だから大丈夫」と思い込んでいる人はいないだろうか。同志社大学スポーツ健康科学部教授の石井好二郎さんは、仕事で体を動かしていても健康効果が得られていない場合もあると指摘する。
「2021年に笹川スポーツ財団が発表した調査報告によれば、日本では仕事で体を動かしている人ほど、肥満が多いことが示されています。つまり、動いている以上に食べている。ストレスの多さから、勤務後に高カロリーでバランスの偏った食事を摂っているのかもしれません。また、肉体労働者の喫煙率が高いことも報告されています。つまり、自分でやると決めた運動が健康効果を高めるということです」(石井さん)
仕事で体を動かしているからと過信せず、プライベートでウオーキングなどの運動時間を確保するのがいい。
「1日プラス10分の運動を取り入れてほしい。ウオーキングなら、1日1000歩、駅でいえば1駅分を歩くといい。1万歩を目標にしたり、2駅分歩こうとして三日坊主になるようでは逆効果。また激しすぎる運動は死亡率を高めます。グループでできるスポーツを取り入れるのもおすすめです。個人での運動実践よりも介護予防効果が高いことを指し示すデータも存在します」(石井さん)
もちろんジムに通うのも健康効果は充分だが、運動後すぐにジャクージに飛び込んで疲れを癒すのは避けた方がいい。東京都市大学教授で温泉療法専門医の早坂信哉さんが言う。
「運動後は疲労した筋肉を回復させるために血液が集まり、酸素や栄養素を運ぶ役割を果たしています。その状態で入浴すると、温かいお湯に触れた皮膚に血液が集まるため、かえって疲労が取れにくくなる。運動後はクールダウンして、30分はあけてからお風呂に入ってほしい」(早坂さん)
※女性セブン2022年11月10・17日号