中国海軍がAI(人工知能)搭載の超大型ドローン無人潜水艦を開発し、すでに南シナ海の海南省三亜市の海軍基地に2隻配備していることが分かった。中国によるドローン潜水艦の開発は米軍が南シナ海で展開する「航行の自由作戦」に対抗する狙いがあるとみられる。AI搭載の潜水艦の開発は米海軍に次いで世界で2番目となる。世界の海軍の動向に詳しい英国海軍発行の月刊誌「Naval News(海軍ニュース)」が報じた。
同誌は海南島の中国海軍基地を撮影した衛星画像からの2隻のドローン潜水艦の写真を掲載。潜水艦は全長16mと18mの2隻で、ともに全幅が約2m。船首は流線型で、尾翼には2つのスクリューが横並びに配置されている。
中国のドローン潜水艦は搭載したソナーで水中の模擬潜水艦の音源を捉え追尾、異なる角度から音源を確認しAIが「敵」だと判断し、魚雷を発射し模擬潜水艦を撃沈するなどの能力を持つという。
三亜市の中国海軍基地は潜水艦の拠点で、南シナ海を航行する米軍艦船の情報を収集、監視していることが分かっており、ドローン型潜水艦は今後、中国が南シナ海の米軍の動向を探る重要や軍事兵器となることが予想される。
AI搭載のドローン型潜水艦の研究については米国が最も進んでおり、米海軍は今年5月、カリフォルニア州のハンティントンビーチで超大型ドローン潜水艦「オルカ(シャチ)」を公開している。
オルカは全長26mで、小型の水中ドローンを搭載。最高速度8ノット(時速14.8km)、最大航続距離は6500マイル(10460km)、最大深度は約3000m。米海軍は今後数十年間で50隻を配備する予定だ。
海軍ニュースは「ドローン型潜水艦を保有すれば、情報収集、敵艦の監視・偵察、攻撃などの任務を遂行するうえで重要な役割を果たすことができるため、世界の海軍が開発を進めている。そのなかでも、米中両国が最も研究開発が進んでおり、両国によるAI搭載ドローン型潜水艦の開発競争が激化することが予想される」と報じている。