北朝鮮では2020年から2年半の間に朝鮮労働党の党員約300万人のうち50万人が党員活動に参加できなくなっていることが明らかになった。この間、新型コロナウイルスの感染が拡大し、中国との国境を閉鎖したことから、輸入がストップし、食糧や生活必需品、石油などのエネルギーが極度に不足。市民は生活苦にあえぎ、党活動どころではなくなってしまったからだという。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
北朝鮮の党員数は全人口2200万人の約7分の1で、党や政府、軍の中央幹部以外は「党細胞」といわれ、ほとんどが地域住民の集会をまとめるなどの末端幹部とされる。
党員は毎週1回の自己批判会への出席を義務付けられているが、この2年半の間は無断で欠席する党員が多く、3回欠席すると、上級幹部から警告を受け、半年以上欠席し続けると党員資格を剥奪される決まりになっている。
最近では、党員資格を剥奪状態の党員が総数の6分の1の50万人以上に達しているが、朝鮮労働党指導部は一党独裁体制を維持するために、これらの党員については、党員資格はく奪を猶予している状態だ。
これらの党員が活動をサボっているのは党や金正恩朝鮮労働党委員長への忠誠を誓うよりも、毎日の食事の糧を見つけなければならないからだ。
ある党員はRFAに対して、「党幹部は国民がどんなにみじめな生活をしているのかには無関心だ。幹部は人々の生活を改善する方策を見つけようとするのではなく、末端の党員や住民に無条件で服従を強いるだけだ」と当局の姿勢を批判している。
党員は、かつては食糧の配給量から住宅、医療施設、休暇や旅行証の発行などで特別の扱いを受けていたが、新型コロナウイルスの感染拡大が続いたことから、これらの特権は絵に描いた餅となり、末端幹部らは日常生活を維持することさえままならなくなっているという。