中国の人気スポーツブランド「李寧」が発売した最新のファッションウェアの一部が、「旧日本軍の軍服に似ている」と中国のSNS「微博(ウェイボー)」上で指摘され、「もう2度と買わない。声も出ない」などと批判が巻き起こっている。一部のネットユーザーからは「これは旧日本軍の軍服とは違う」との指摘も出ているものの、反日感情が根強く残る中国ではいったん火を噴いた日本に関する批判は消し止めようもないようだ。複数の中国メディアが報じた。
同社は引退したオリンピック体操の金メダリストで「体操王子」として親しまれた国民的英雄、李寧氏(59)が立ち上げた「李寧有限公司」で、李寧氏は同社の会長として経営に携わっている。
知名度が高い自身の名前をブランド名にして、主にスポーツ用品を売り出し、いまや中国有数のファッションブランドとなっている。
同社は最近、「夢を追う空港コレクション」と銘打って、カーキのダウンパーカー、帽子、パーカーなどの最新ファッションウェアを売り出した。
しかし、ネット上では「旧日本軍の戦時中の軍服のコピーそっくりだ」などと非難され、両方の写真を並べた投稿をきっかけに、苦情が殺到した。
このため、李寧氏は「『夢を追う』コレクションの一部の商品について、そのデザインと外観がここ数日ネット上で議論を巻き起こし、当惑と疑念を招いたことを心からお詫び申し上げます」と声明を発表した。
さらに「旧日本軍の軍服によく見られる耳あて付きの帽子を含むこのコレクションについて、古代中国の兜からインスピレーションを得た。私たちは、これからも人々の意見や提案に注意深く耳を傾けていきます」と説明するなど釈明に追われている。
これについて、あるユーザーは「最初の言葉は謝罪であるべきではないか。日本軍は南京で少なくとも20万人の殺人などを推定している」と批判の追い打ちをかけた。
一方、別のユーザーはネット上では、「ナチスドイツのシンボルマークである『ハーケンクロイツ』と仏教の寺院の印と用いられる『卍(まんじ)』の区別がつかないような人々が騒いでいるだけだ。両者は全く違う」と反論するなどしたが、「旧日本軍」のイメージが絡んでいるため、騒ぎは当分収まらないかもしれない。