岸田文雄・首相の側近たちと旧統一教会との関係が次から次へと明らかになるなか、「この内閣ではもうダメだ」という声が上がり始めている。では、どういった布陣なら教団との関係を一掃できるのか。『自民党の統一教会汚染』が話題のジャーナリスト・鈴木エイト氏と本誌・週刊ポスト取材班が“除染内閣”を組閣した。【前後編の前編】
内閣改造は失敗だった
岸田首相はいよいよ追い詰められた。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)との関係を誤魔化し続けて“嘘つき大臣”と呼ばれた山際大志郎・前経済再生相が辞任すると、今度は首相の腹心、木原誠二・官房副長官が同教団関連団体から選挙の推薦状を受けていたことが発覚。さらに総理補佐官から8月の内閣改造で大臣に抜擢されたもう一人の腹心、寺田稔・総務相も「政治とカネ」の問題で火だるまになっている。
政治ジャーナリスト・野上忠興氏が指摘する。
「岸田首相は内閣改造で旧統一教会と関係があった大臣を交代させ、同教団との絶縁をめざしたが、新任や留任した大臣・副大臣にも多くの教団汚染議員がいた。これでは本気で教団を追及することなどとてもできない。内閣改造は完全に失敗です。ましてや木原氏と寺田氏はいわば首相の右腕と左腕のような存在で、この2人がドミノ辞任に追い込まれるような事態になれば政権は持たない」
岸田首相は旧統一教会への解散命令の申し立てを前提に、永岡桂子・文科相に対して宗教法人法に基づく質問権を行使するように指示し、年内にも同教団への調査が開始される見通しだ。
だが、その前に政権が倒れる可能性さえ出てきた。旧統一教会と政治家との関係を追及してきたジャーナリストの鈴木エイト氏は、「そうなれば教団追及がウヤムヤになりかねない」と懸念する。
「統一教会との関係が薄い岸田首相だからこそ、解散命令への手続きを進められると言っていい。教団の影響力が強かった安倍政権時代や菅政権時代には絶対に無理だったでしょう。首相が交代して教団との関係が深い安倍派の傀儡政権ができるようなことになれば、間違いなく教団追及はなされない。岸田首相が本気で統一教会との関係を断ち切るのなら、もう一度、内閣改造して今度こそ教団汚染議員を一掃した内閣をつくり、閣内が一致団結して教団追及にあたる体制をつくるべきです」
岸田首相が内閣改造をやり直し、旧統一教会の“汚染議員一掃内閣”を組めるかどうかが、国民の信を取り戻すラストチャンスという指摘だ。