レンタルビデオショップ・リユースショップなどを全国に展開するゲオホールディングス傘下のレンタル店「ゲオ」が9月末でCDの買い取り受付を終了した。その少し前にはハードオフの一部店舗でCDの買い取り受付が終了、ツタヤもフランチャイズを中心にレンタル事業の撤退が相次いだ。CD・DVDセルショップもネット通販に押されて久しい。かつてはCDの売上枚数がアーティストやアイドルの人気や成功の証だったが、今ではネットでの再生回数やダウンロード数が指標だ。俳人で著作家の日野百草氏が、その形状から「円盤」と呼ばれることもあるCDやDVD買い取りの現実について聞いた。
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「いよいよ『円盤』の滅ぶ時が来るのでしょうね。レンタルはもちろん、DVDもCDも、ひと昔前に比べればまったく売れないし、物にもよりますが買い取りも躊躇するレベルです」
長く複数のリサイクルショップを地場で手掛ける経営者(50代)が語る。『円盤』とはDVD(文中、Blu-ray含む)やCDのような光ディスクのことを指すネットスラングとされる。とくにアニメやアイドルなどのコンテンツに使われる言葉で、例えば売れなかったアニメのDVDに対して「円盤500枚爆死」(そのアニメのDVDが500枚しか売れなくて失敗、ということ)などと使われる。もちろん出荷枚数はそれより多く、調査対象に入っていない販売店もあるため厳密な数ではないが、500枚ではまさしく「爆死」である。しかしいまやその「爆死」、コンテンツの出来不出来に関わらず珍しくなくなって久しい。CDはともかく、DVDは本当に酷い。
「100枚くらいしか売れないアニメとかありますからね。コロナ前は声優のイベントチケットとかつけて何とかなってましたけど、それもコロナで休止、やっと最近イベントそのものは復活してきましたけど、それで円盤の売り上げが復活したかというとそうでもないでしょう。むしろ終わりに近づいているのでは。アニメがどうこうというより、もう円盤が時代じゃないのでしょうね」
円盤を売るためにイベント応募券、ライブ応募券や握手券をつけることは当たり前になっていた。しかしコロナ禍にそういったイベントは軒並み自粛、インターネット全盛のいま円盤単体で勝負できるはずもなく、絶望的な売り上げ、まさしく「爆死」ばかりとなった。現在でもそれなりに売れる円盤はあるが、それらの多くはイベントやライブなどの特典目当てや熱狂的な固定ファンによる推し活的な複数枚買いの買い支えが実情で、市場全体で円盤の売り上げが戻ってきたとは言い難い。DVDにしろCDにしろ、役目を終えつつあるということか。
「以前からうちの買い取りも、物によっては限りなく『0円』ですよ。人気のある無しは必ずしも関係なくて、応募券欲しさに同じ円盤を大量に買う人が、いらない円盤を持ち込んでくる、そういうアイドルとかアニメ声優のファンの円盤はいらないですね。在庫のダブつきが半端ないんで。握手券で有名なアイドルなんかずっとそれです。声優系のガールズバンドとかはまだ値段がつくかな、それでも数百円ですね」
おっしゃる通り、物にもよるのだろうが、大量に持ち込まれる円盤ゆえに値段は暴落する。イベント応募のシリアルナンバーや握手券、特典さえ手に入ればあとはどうでもいい、とまで言わないまでも「視聴用」「保存用」など数枚あれば済む話で、あとは即売却となる。当然、中古ショップやリサイクルショップとしては買い取り額を下げるしかない。