世にはたくさんのダイエット術が存在しているが、なかにはあまり意味ないものもあるという。たとえば、野菜から食べることで血糖値の乱高下を防ぐ食べる順番ダイエット。実践している人をしばしば見かけるが、実は「ベジファースト」である必要はない。『毒になる食べ方 薬になる食べ方』の著者で管理栄養士の森由香子さんが言う。
「大切なのは炭水化物を最後に食べる『カーボラスト』です。主食を最後に食べるようにすれば、野菜が先でも、肉や魚が先でも、効果は変わりません」(森さん、以下同)
話題の糖質制限や食べないダイエットは、むしろ太りやすくなる恐れがある。
「炭水化物には食物繊維が含まれます。主食を抜くと、食物繊維不足で便秘がちになり、代謝が落ちて結果的に太りやすくなります。特に、昼食の量が少ないと便秘になりやすいといわれています」
16時間食べないダイエットで細胞が活性化し、健康維持にも役立つといわれるが、これはあくまでも、健康な人がさらに体調をよくするために行うもの。内科医で日本中医薬学会理事の関隆志さんが言う。
「確かに、小食にすることで飢餓状態をつくり、免疫力の強化や炎症の抑制などの効果があることがわかっています。しかし、普段から食事に偏りがあり、栄養状態が悪い場合は、悪化する恐れがある」(関さん)
同様に朝食を抜くのも、太りやすくなったり、健康に悪影響が出る可能性が高い。
「朝食を摂ることで胃腸のスイッチが入って体温が上がり、その日一日の代謝が上がります。また、朝食を抜くと口臭の原因になることも判明しています」(森さん)
昨今は白米がダイエットの敵とされるが、そもそも、日本人は白米の糖質やでんぷんの代謝に優れた腸内細菌を持っており、一般的な量であれば、白米を食べても太ることはない。一方で、白米よりも食物繊維やビタミンが豊富な玄米は美容・ダイエット食として知られるが、これには向き不向きがある。
「食物繊維が多いため、生野菜同様、消化に時間がかかります。胃腸が弱い人や、食欲不振のときには負担が大きい。また、微量ながら残留農薬のほか、鉄や亜鉛の吸収を阻害するフィチン酸も含まれている。玄米を食べるなら、白米に混ぜたり、水溶性食物繊維が豊富な大麦などと合わせるのがいい」(関さん)