「優勝の報告をしてくれましたが、本当に嬉しかった。これまでの苦労も吹っ飛びますよ。私の口から最初に出た言葉は“おめでとう”ではなく“ありがとう”でした」
そう語るのは金田弘吉氏(79)。女子ゴルフツアー史上最長となる11年189日ぶりの優勝となったキンクミこと金田久美子(33)の父だ。
10月30日、「樋口久子・三菱電機レディース」でツアー2勝目を飾った瞬間、テレビの画面越しにもらい泣きした視聴者も多かっただろう。
トレードマークの金髪ミニスカ姿は健在だったが、若い頃のド派手に振りまわす“センスのゴルフ”から、巧みなコースマネジメントで耐える“大人のゴルフ”への変貌は、11年という時の長さを感じさせた。
「3歳でゴルフを始めたキンクミは“天才少女”と騒がれて、12歳9か月でツアー予選を突破。2011年に22歳で初優勝と順調なキャリアを歩んでいた。
しかし、近年はスランプにも悩まされた。アマの頃から茶髪にヘソピアスで“ギャルファー”と呼ばれていたが、自分のことを“熟女”なんて言うようになりました」(ゴルフジャーナリスト)
そんな彼女を支えてきたのが弘吉氏だが、優勝を決めた18番ホールにその姿はなかった。キンクミは「緊張すると思ったのか、(観戦を)自粛してくれた。本当はハグしたかった」と語ったが、弘吉氏は戦いの模様をどう見届けていたのか。
「テレビは録画放送だったので、ずっとネットの速報を見ていた。優勝はそれで確認したので、テレビは安心して見られました(笑)。速報でもハラハラドキドキしていたし、マジでヤバい場面もあった。会場に行ったら怖くて見ていられなかったと思います」(弘吉氏)
最終日の前夜は、直接話したい気持ちを抑え、スマホでメッセージだけを送った。