ガッツ溢れるプレーで知られた巨人のゼラス・ウィーラーが自由契約になり、チームを去ることが決まった。2021年は121試合に出場し、22試合連続安打も含め打率.289、15本塁打、得点圏打率.346と活躍したが、今シーズンは30試合の出場にとどまり、二軍生活が続いていた。今オフは、他球団も含めて外国人選手が相次いでチームを去ることとなったが、何が起きているのだろうか。
2020年のシーズン途中に楽天から巨人に移籍してきたウィーラーについて、スポーツジャーナリスト・広尾晃氏はこう話す。
「ハッスルプレーとチャンスに強いバッティングでチームに貢献し、昨年はオールスターに出場するほどの活躍を見せましたが、今年はアダム・ウォーカーが活躍したことで出番が激減。来日8年目にして自己ワーストの一軍出場試合数となった。昨オフに年俸5000万円(推定、以下同)から同1億1000万円と倍増したことで、コスパ(費用対効果)が悪くなったのも自由契約となったことの一因でしょう」
チームに残る巨人のウォーカーは外国人選手として異例となる秋季練習に参加しているが、V逸の要因に外国人選手の不振があったのはたしかだろう。契約が切れるメルセデス、単年契約のアンドリース、シューメーカー、ポランコは契約延長されないと見られている。
岡田彰布新監督が就任した阪神ではすでに、中継ぎ右腕・ケラー以外のアルカンタラ、ガンケル、ウィルカーソン、マルテ、ロドリゲス、ロハス・ジュニアの6選手の退団を発表している。12球団を見渡しても、外国人選手で安泰なのはヤクルトでリーグ優勝に貢献した38セーブのマクガフ、15本塁打のサンタナ、9勝のサイスニードくらいではないだろうか。高額年俸の助っ人にとっては厳しいオフになりそうだ。
外国人選手の場合、残留できるかは年俸との兼ね合いが大きいという。そこで今季の成績から、費用対効果の悪かった外国人選手が誰なのか探ってみた。
プロ野球を各種データから分析した『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス)の著書がある前出・広尾氏の協力のもと、今季一軍出場のあった約370人の野手の“働きぶり”を数値化してランキングにした。野手の評価に際しては統計学を利用して野球を分析するセイバーメトリクスの「RC」という指標を採用。RCは安打や四球に盗塁や犠打などの要素を加え、その野手が「得点を生み出す力」を示す。RCが50の打者は50得点を生み出したことになる。「RCの1ポイントあたりの年俸」を算出することで、どれだけコスパが良かったかを可視化した。広尾氏が言う。
「ワースト30までのランキングを見ると、年俸が高い外国人選手が6人もいる。12位にはソフトバンクの大物外国人選手のガルビス(年俸3億5000万円)。メジャー通算109本塁打のスイッチヒッターだが、打撃不振で38試合の出場にとどまった。2年契約なので来年もいることになる。
DeNAのオースティン(同2億円)も4月に右肘のクリーニング手術を受け、代打で38試合の出場。打率.156、1本塁打、3打点でワースト7位となった。一方で巨人のウィーラーは“外国人選手枠の犠牲者”とも言えそうです。年俸が1億1000万円に上がったものの、同じ外野手で年俸3400万円のウォーカーが活躍したことによって出番が激減した。RC6.15にとどまり、1RCあたり1787万4000円。ワースト30位にランクしている」