中国共産党の海外活動を調査している国際的な人権団体「セーフガード・ディフェンダーズ」が「海外110」と題した報告書で、中国共産党が欧米諸国に設置した非公式な警察組織について明らかにした。
報告書によると、中国共産党当局は、欧米諸国を中心に21カ国に54もの非公式な警察組織「中国警察駐在所」を設置し、海外の民主化活動家らに接触して、反中国的な活動を止めるように脅迫したり、強制的に帰国させるなどの活動を行っているという。
オランダ政府は11月2日、中国政府に対して、アムステルダムとロッテルダムに中国警察駐在所が置かれていることを確認したとして、この2カ所の駐在所を閉鎖するよう要求したという。英国やスペインなども駐在所について調査しており、今後、オランダ政府と同様の行動をとるとみられる。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
中国も署名しているウィーン条約によると、外交事務は現地政府によって認められた各国大使館と領事館に限られる。こうした非公式警察組織は現地の法律に違反し、国家主権を侵害している可能性があるという。
オランダのウォプケ・エクストラ外務大臣は「オランダ政府は中国の警察機関がオランダ政府に無断で活動すること容認できない。駐オランダ中国大使はただちにこれらの駐在所を閉鎖しなければならない」と発表。オランダ外務省は駐在所の存在を明らかにするよう要請し、その活動を調査していると付け加えた。
オランダのラジオ局RTLなどオランダメディアは、オランダ在住の中国人反体制活動家の話を引用する形で、2カ所の駐在所警察署が2018年以降、海外の反体制派グループの摘発を目的に設立され、中国で警察官としての経験を持つ人物ら数人が駐在し、オランダ在住の中国人を監視していると伝えている。
これについて、中国外務省は「オランダの報道は全くの虚偽であり、駐在所は運転免許証の更新など、海外居住者を支援するためのものである」と主張しているが、すでに米、英、独、スペインなど欧米諸国は駐在所の調査を開始している。
セーフガード・ディフェンダーズによると、海外の駐在所は各国の華人同郷会(友好団体)と連携しており、同団体は対外工作を主要な任務としている中国共産党統一戦線部と密接な関係にあるとされる。